リーダーとしての責任の自覚は人間の力を引き出し急成長させる原動力

2012年8月15日(水)更新:1
・『自分の弱点に挑戦していこうと一歩を踏みだすことから人間革命が』
http://d.hatena.ne.jp/yoshie-blog/20140511/

【新・人間革命 厚田 五十一】
 漆原芳子が函館支部の女子部の責任者になって三カ月後、再び教学部の任用試験が迫ってきた。当時、教学部員になるには、まず教学部員候補採用試験を受けなければならなかった。この試験に合格したあと、「当体義抄」「撰時抄」、御消息文、「三重秘伝抄」の講義が行われた。それを受講した人のみが、教学部任用試験を受験することができた。
 漆原は、教学部員候補となり、講義も受講した。そして、任用試験の合格に意欲を燃え上がらせていた。
 彼女は、女子部のリーダーとして、受験者に訴えた。
 「戸田先生は、女子部は教学で立つように指導されています。今度の任用試験は必ず合格しましょう」
 東京から指導に来た幹部が、受験者のために勉強会を開いてくれた。その帰り道、前を歩いていた女子部員の話が、芳子の耳に飛び込んできた。
 「私たちは、落ちても仕方ないわよね」
 「そうよね。幹部である漆原さんだって、教学部員になっていないし……。だから、私たちは、焦ることはないわよね」
 落雷に打たれたような衝撃を受けた。「率先垂範」といわれるが、そうでなければ、指揮も、皆の意欲も、低下してしまうことを、身に染みて知った瞬間であった。
 “絶対に合格しなければ!”
 彼女は、寸暇を惜しんで猛勉強に励んだ。
 任用試験は、第一次となる筆記試験が十一月十一日に実施され、全国で三千六百人余が受験した。この試験の合格者に対して、さらに、第二次試験として口頭試問が行われた。
 その結果、助師に千三百十八人、講師に百二十九人の登用が決まったのである。
 また、成績優秀者五人が、一挙に助教授候補に登用された。助教授と同様に講義を担当し、助教授になることができる資格である。
 漆原は、この助教授候補になったのだ。
 リーダーとしての責任の自覚は、人間の力を引き出し、急成長させる原動力となる。  (聖教新聞 2012-08-14)