味方よりも敵が、順境よりも逆境が、自身を強くする

2013年12月11日(水)更新:2
【名字の言】
 海外に本社がある企業に勤める壮年が、赤字続きの日本法人の再建を任された。皆の奮闘もあり、赴任後1年を経ずして初の黒字化を達成。直後、日本法人の社長に呼び出された。解雇だった▼頭の中が真っ白になった。会社に貢献こそすれ、マイナス面はなかったと語る彼だが、解雇の決定を覆すことはできなかった▼他社からの誘いもあった彼は、再就職は決して難しくないと踏んでいた。だが、それが慢心と気づくのに時間はかからなかった。慢心を排し、信仰で鍛えた不屈の心で就職活動を続けた。家族も懸命に支えた。希望の職に就けたのは、無給生活から1年4カ月後。応募した会社は200を超えた▼人は、人生の逆風に真正面から挑むとき、新しい自分に生まれ変わる。順風のときに努力していないわけではないが、振り返ると、逆風の中での歩みが自身をつくっている。風の本当の強さは風に向かってみて分かるように、自分の本当の力は逆風に立ち向かったときに知る▼「かたうどよりも強敵が人をば・よくなしけるなり」(御書917ページ)と。味方よりも敵が、順境よりも逆境が、自身を強くする。「風に流される人生」から「風に向かう人生」へ――この一念の転換から勝利のドラマは始まる。(側)
   (聖教新聞 2013-12-11)