微笑は、人の心を和ませ、力を湧かせる
2013年12月12日(木)更新:1
・『逆境とは、自身を光り輝かせるための舞台』
http://d.hatena.ne.jp/yoshie-blog/20190208
【新・人間革命 若芽 四十】
一九七九年(昭和五十四年)四月、四年生として公立の小学校から転入学してきた久藤智代は、左足に障がいがあった。
一歳半の時、踏切で事故に遭い、左脛の中ほどから下を失ったのである。さらに、四歳の時に、母親が他界する。
父親は、その後、再婚した。新しい”母”は、常に微笑みを絶やさぬ人であった。智代は、継母が大好きになった。
小学三年生の時、継母は智代に言った。
「学会の会長の山本先生が創立された、創価小学校というすばらしい学校があるんだけれど、智代ちゃんも受けてみない?」
それは、父親の希望でもあった。
東京創価小学校では、開校時、三年生は二クラスでスタートしたが、翌年、新四年生は三クラスにするため、一クラス分四十人の児童を募集したのである。
久藤智代は、継母の話を聞いているうちに、自分も通ってみたいと思った。
選考の結果は、合格であった。
埼玉県の志木に住んでいた彼女は、通学に片道一時間半ほどかかった。志木駅から所沢駅まで、バスで四、五十分ほどかかる。所沢駅から西武新宿線に乗り、一つ目の東村山駅で西武国分寺線に乗り換え、二つ目が創価小学校の最寄り駅となる鷹の台駅である。
通学は、ラッシュ時と重なり、西武新宿線も、西武国分寺線もかなり混雑している。
智代は、物心ついた時から義足を使っていた。歩くのに不便を感じたことはなかったが、速く歩くことはできない。ラッシュで押しつぶされそうになりながらの通学は、心身ともに疲れ果てた。
そんな彼女の疲れを吹き飛ばしてくれたのが、登校時に「おはよう!」と児童を出迎える、校長・新木高志の満面の笑みであった。
その笑顔に接すると、ほっとするのだ。
ボリビアの詩人フランツ・タマーヨは詠う。
「楽しい人生にも不幸な人生にも 最高の支えがある、それは微笑みである」(注)
微笑は、人の心を和ませ、力を湧かせる。
■引用文献
注 「新しいルバイヤート」(『フランツ・タマーヨ選集』所収)ビブリオテカ・アヤクーチョ(スペイン語)
(聖教新聞 2013-12-06)