一切の物にわたりて名の大切なるなり

2013年11月10日(日)更新:2
【名字の言】
 「冨嶽(ふがく)三十六景」などで知られる、日本を代表する浮世絵師・葛飾北斎。19歳の時、勝川春章(しゅんしょう)の弟子となり、「勝川春朗(しゅんろう)」と名乗った。以来、「宗理(そうり)」「辰政(ときまさ)」「画狂(がきょう)老人」をはじめ、90年の生涯で使った画号は「30」を超える▼画号とは、作品に記す本名以外の名前のこと。画号を変えた理由はさまざまあろうが、北斎は多彩な画風を持つ。画号の変更は、新しい画風に挑む心意気のあらわれとみたい。「名は体を表す」からである▼東京・信濃町にそびえ立つ総本部が「広宣流布大誓堂」と命名された。ここに集った友が創価の三代会長の精神を受け継ぎ、広宣流布の前進を固く誓い、生まれ変わった決意で出発する「師弟誓願の大殿堂」との意義が込められている▼日蓮大聖人は「一切の物にわたりて名の大切なるなり」(御書903ページ)と。天台大師は法華経を解釈する際、まず、妙法蓮華経という名について論及し、法華経こそが最高の経典であることを明らかにした。それほど名前は大切なのである▼建物と人間精神の関係を見つめた文豪ゲーテ。『ファウスト』に、こう書いた。「同じことなら精神を高揚させる建物を願いたい」(池内紀訳)。広宣流布大誓堂とともに、世界広布新時代へ出発する時が来た。(川)
   (聖教新聞 2013-11-09)