希望の未来へ英知の結集を

2013年12月6日(金)更新:4
【中国・広州市で行われた池田思想シンポジウムから】
《アモイ大学 黄順力教授 人道的競争で利己主義を脱却》
●「個人の自由や尊厳という近代ヒューマニズムの原理は、“環境としての人間”“自然としての人間”という側面から補完されなければ、空洞化してしまう」(池田先生)
●利己主義を脱却し、自他共の利益を追求する「人道的競争」が、欲望を追い求める自由競争に取って代わると先生は主張しました。
 また、個々人が「人類は運命共同体である」との意識のうえから、生活方式と生活態度を修正することを訴えています。


《ちゅうがい農業工程学院 高岳侖党委副書記 自然の破壊は人間の破壊へ》
●池田先生は、ローマクラブ創設者であるアウレリオ・ペッチェイ博士(『21世紀への警鐘』)や、未来学者ヘイゼル・ヘンダーソン博士(『地球対談 輝く女性の世紀へ』)らと対談集を発刊してこられました。
 対談における“自然を破壊することは、そのまま人間自身を破壊することに通じていく”等の主張は、今日の中国、さらに世界規模で捉えた生態文明建設の理念と共通した認識が含まれています。
●自然との調和を尊重する池田先生の思想は、中国が標榜する未来と共通し、人類の生態文明建設への指針を示しているといえます。


《香港 天地図書 孫立川総編集長 時代が求めるトインビー対談》
●近年、経済が急速に発展している中国は国内総生産(GDP)が世界第2位になった一方で、自然環境は予想していた以上に悪化するに至りました。『21世紀への対話』の中で、トインビー博士が抱いていた“命と環境は一体化したものである”との考えに対し、池田先生は仏法の「依正不二」の概念を提示されました。さらには、地価の高騰をめぐる問題、交通機関の問題、また労働者の問題など現代都市の諸課題を明らかにしました。
 私たちは、池田先生の思想を学び、子々孫々に生態文明を築くことを伝承していかなくてはなりません。


《南開大学 紀亜光教授 人間・環境・地球の革命を》
●池田先生の生態文明観には人道的な配慮が見られます。先生は、人間の幸福と人類の繁栄に着目し、人間の視点から自然環境が悪化した原因を分析。環境問題は人間の内的汚染が外に現れたものとし、「人間革命」によってこそ新たな繁栄が築かれると強調されています。そして「人間革命」を通し、「環境革命」「地球革命」を実現しなければならないと語られました。
 また、問題解決の鍵は国境を超えた人類の協力活動にあるとされ、地球規模の新たな人類文明を創造すべき時であると訴えられました。
 池田先生の環境問題に関する思想には「人間への関心」から「人間への反省」、そして「人間への期待」、さらに「人間への信頼」が貫かれています。一人一人が「地球意識」を育むことで、世界の諸問題を解決できると信じておられるのです。


《香港理工大学 張宙副教授 具体策示す「SGI提言」》
●これまでの提言では環境問題に対し、次々ように提起されました。
 (1)物質主義を打破し、自然と調和するライフスタイルを追求する(2)一人一人が環境問題を「自分自身の問題」として捉え、共通の未来のために心を合わせて努力していく(3)人間と自然をつなぐ仏法の「依正不二」の観点から環境保護の諸問題を検討する(4)環境保全の根幹となるのは民衆の草の根の運動であり、環境教育は地球規模の変革の推進力となる。


広東省社会科学院 温憲元副院長 「寛容」と「多様性」を強調》
●「全ての人間は何ものにも隷属しない」(池田先生)
ライナス・ポーリング博士との対談集『「生命の世紀」への探求』では、21世紀を生命の世紀とし、仏法の「一切衆生平等」の観点から「生命の尊厳」を提起。また、マジッド・テヘラニアン博士との対談集『21世紀への選択』では、「寛容」と「多様性」を強調し、地球的統合をめざして人類共生への「選択」を訴えました。さらに、今年のSGI提言においても、持続可能な地球社会を開発目標にし、その精神的基軸に「生命の尊厳」を据えることを提唱されました。


《湖南大学 陳暁春教授 民衆結ぶ共生の理念》
●わが国は環境汚染に直面しており、その解決には民衆レベルの幅広い協力が必要です。生態文明を建設するうえで重要なのは、池田先生が訴えているように、人間自身が欲望を制御し、自然環境と対等に関わり、調和をはかる思想です。


《広東外語外貿大学 韋立新教授 法華経智慧を応用》
●生態文明の建設は、東洋の知恵によって創造される
●現代文明の苦境の原因は「自然を征服する」自然観にある
●「法華経」の智慧を応用し、現代世界の問題群に対応すること。
 「共生主義」「仏教の縁起思想」等、生態文明について、池田先生の慧眼は、時代や国を超越しています。


《韶建生学院図書館 官建生館長 文明の変遷に注目》
●自然を畏敬した時期から、「天人合一(てんじんごういつ)」の自然中心主義のグリーン文明、そして自然を征服する「天人分離」の人間中心主義のグレー文明を経て、さらに人間が自然を支配するブラック文明に突入しているのです。
 生態文明の建設は、生命の尊厳を基調とする生命文明の礎石となるものであり、その点は池田先生の「生命尊厳」の理念から導くことができるのです。


《中山大学 鐘明華教授 生活観の転換こそ》
●生態文明の根幹に置かねばならないのは「生命観」と「生活観」です。
 他の生命の価値を軽視し、おろそかにする「生命観」を改めなければいけません。そして消費主義や物質主義に基づいた「生活観」を転換し、精神の向上を追求する方向へとリードしていかなければなりません。


《肇慶学院 原青林教授 教育界の精神の宝》
●池田先生の思想は世界の教育界における精神の宝です。
 先生の教育理念の核心は、人類の未来や世界平和、社会の調和を志向する「人間教育」にあります。中でも、環境教育は重要な柱です。
 先生は、環境問題の根本的な原因を「科学技術の乱用」「人類の精神の荒廃」に見いだしています。
 そして、生命を尊ぶ人間性の開花――「人間革命」を根本に、人間と自然との共存の道を探る教育思想を提唱し、実践しておられるのです。
   (聖教新聞 2013-12-06)