人生はあまりにも短い。その時間を誰かのために使いたい

2014年1月22日(水)更新:4
【名字の言】
 オーストリアの元文部次官であるサイフェルト博士と池田名誉会長の対談「生命の光 母の歌」が、本紙で好評連載中だ。博士はソプラノ歌手としても知られ、各国で華麗な歌声を響かせてきた▼「以前、サイフェルトさんに励まされたことがあります」。博士の来日公演(1993年)でスタッフを務めた男性が、思い出を語ってくれた▼コンサートの日、妻の出産が近づいていた。それを知った博士は、演目が終わると男性のもとへ。「アンコールで歌ったブラームスの子守歌は、あなたの子どものためにと思って歌ったの。きっと無事に生まれてくるわ!」とほほ笑み、ウサギの形をしたオルゴールを手渡した。宿舎に戻ると、わが子の誕生を伝えるメモが。はやる気持ちを抑えて、男性は電話機に手を伸ばした▼「多忙な公演のさなかだっただけに、博士の気遣いが今も鮮やかです」。こう男性は振り返る。子どもは大学生となり、先日、成人式を迎えた。今も部屋にあるオルゴールが向学の日々を見守る▼対談で“人生はあまりにも短い。その時間を誰かのために使いたい”と博士は語る。どんな忙しい時でも、人との出会いを大切にし、言葉を大切にする。その実践が、幸福の新たな調べを紡ぎ出す。(険)
   (聖教新聞 2014-01-22)