「人間の精神は慢心へと傾きやすく、慢心は精神を腐敗させる」

2014年2月4日(火)更新:2
・『誰もが耳を疑うような、予期せぬかたちで競い起こるのが魔なのである』
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【新・人間革命 正義 二十八】
 学会を誹謗する僧の大半は若手であり、世間の常識に疎く、態度が横柄な者も少なくなかった。それでも学会員は、彼らを守り、寺のために尽力してきた。
 彼らが、学会への憎悪を募らせ、理不尽な誹謗をエスカレートさせていった背景には、学会を裏切っていった“背信の徒”の暗躍もあった。弁護士の山脇友政である。
 学会員であった彼は、弁護士として学会の法的事務などに携わるようになった。すると、次第に自分の法的知識を鼻にかけ、先輩幹部を見下し、誰の言うことも聞かなくなっていった。慢心に毒されていったのだ。
 「人間の精神は慢心へと傾きやすく、慢心は精神を腐敗させる」(注)とは、フランスの作家ジョルジュ・サンドの警句である。
 山脇は、学会の仕事だけでなく、宗門の法的な諸問題にも関与するようになり、宗内に人脈を広げていった。
 その一方で、弁護士の立場を利用して金儲けを企て、会社経営にも手を出していく。学会活動もしなくなり、信心を失い、金銭欲に翻弄され、拝金主義に陥っていったのである。
 しかし、やがて、杜撰(ずさん)な経営によって事業は破綻し、莫大な負債を抱えることになるのだ。行き詰まった彼は、虚言を重ね、さまざまな事件を起こし、遂には、社会的にも厳しく裁かれていくことになる。
 山本伸一は、前々から、山脇のことが心配でならなかった。信仰の正道(せいどう)を歩ませたかった。真剣に信心に励むよう、諄々(じゅんじゅん)と諭したこともあった。時には、厳しく指導をしたこともあった。
 だが、慢心に侵された彼は、むしろ伸一を疎ましく思い、指導されるたびに、恨みと憎悪を募らせていったのだ。
 山脇は、信徒団体である学会は、どんなに大きくとも、所詮は、宗門の下にあり、屈服せざるを得ない存在であると考えていた。そこで宗門に取り入り、自分が学会との窓口となり、宗門の権威を利用して、学会を操ろうと画策したのである。
■引用文献
 注 「スピリディオン」(『ジョルジュ・サンド セレクション第2巻』所収)大野一道訳、藤原書店

   (聖教新聞 2014-02-04)