育むべき根本は、自主的、主体的な意欲
2013年12月25日(水)更新:2
・『基本になくてはならないのはありのままの人間対人間としての信頼関係』
http://d.hatena.ne.jp/yoshie-blog/20190403
【新・人間革命 若芽 五十】
山本伸一は、皆で声を合わせて行進しながら、見学に来ていた子どもたちに、次々と言葉をかけていった。
「みんなも、おいでよ」
一緒に歩く子どもの数は増え、四、五十人に膨らんだ。伸一と他校の子どもたちの行進に、創価小学校の児童から拍手が起こった。
伸一は頷いた。
“これが大事だ”と思った。
他校の児童のなかには、創価小学校に入学したかったが、選考でもれてしまった子どももいるかもしれない。あるいは、創小生になった弟や妹を、羨望の思いで見ている子どももいるにちがいない。
“創小生は、そうした人たちの心を汲み、その人たちの分まで頑張れる人になってもらいたい”というのが、伸一の願いでもあった。
彼は、一緒に歩いている子どもたちに、声をかけた。
「親孝行して、勉強もしっかり頑張って、人間として、偉い人になるんだよ」
また、幼児には、「みんな、この学校においでよ。待っているよ」と語りかけた。
運動会はフィナーレとなり、全校児童による演技「開校のよろこび」が始まった。
学校建設の歩みを語るナレーションに合わせ、グラウンドいっぱいにマスゲームが繰り広げられた。
伸一は、演技を見ながら、子どもたちの成長に目を細め、教師に言った。
「立派です。しかし、少し出来すぎのようにも思います。子どもたちが一生懸命に頑張るのはすばらしいことですが、型にはめて高い完成度を求める必要はありません。
のびのびと、自由な雰囲気のなかで育てることです。もっと肩の力を抜き、力みすぎないようにすることも大事なんです。
育むべき根本は、自主的、主体的な意欲です。美しい盆栽を育てるのではなく、大自然のなかで大地に深く根を張り、天に伸びる、堂々たる大樹を育てようではありませんか」
(聖教新聞 2013-12-19)