十法界明因果抄


広宣流布を阻む「修羅」の生命、卑しさ


若し其の心・念念に常に彼に勝らんことを欲し耐えざれば人を下し他を軽しめ己を珍(たっと)ぶこと鵄(とび)の高く飛びて下視(みおろす)が如し而も外には仁・義・礼・智・信を掲げて下品の善心を起し阿修羅の道を行ずるなり(P430)


【通解】
常に他人に勝つことを願い、その心を抑えきれず、人を見下し、他者を軽んじ、自分だけを尊ぶ。それはまるでトンビが高く飛んで、下を見下ろす姿の様である。それでいて外面は、仁・義・礼・智・信という徳を掲げて、「表面的で自己満足の低級な善心」を起こし、修羅道を行ずるのである


【御指導】
修羅界は、十界論では下から四番目であり、地獄界、餓鬼界、畜生界とともに「四悪趣」に位置づけられる。修羅の生命の特徴は、自分よりも優れた人に対する「嫉妬」と、あらゆる人を見下し、押さえ込もうとする「勝他の念」である。
すなわち修羅は、内面では、「我尊し」と驕りながら、外面では、徳を備えた人格者のように振る舞う。偽装がうまいのである。
その根本は、自分をよく見せようとする「見栄」であり、他人を見下し、民衆を蔑視する「傲慢」であり、「驕慢」である。
ゆえに、「だれもが成仏できる」と説く法華経を信じることができない。他人よりも自分が上でないと、気がすまない。いな、妙法そのものよりも、自分が上であるかのように慢心してしまう。それが広宣流布を阻む悪人たちの本質である。まして、「自他共の幸福のために真剣に戦う」法華経の行者の心など、わかるはずがない。
(1999-05-01)



(2月3日更新)