わが友に贈る・寸鉄 他

【わが友に贈る】
病魔に負けるな!
断じて健康になって 広布のために戦うのだ。
この使命感を燃やす時 無限の生命力が湧く! (聖教新聞 2011-10-28、以下同)

寸鉄
●「日蓮折伏を本(ほん)とし」。民衆救済こそ仏法の真髄 正義を叫ぶ若師子たれ!
●最高の瞬間である青春を無駄に過ごすな─詩聖(タゴール)。一日一日、完全燃焼せよ

【名字の言】
「現場」では、気取りや飾りは通用しない。人間としての中身が試される。だから、初心に戻れる。自分が磨かれる。

【新・人間革命 福光四十八】
草創期、多くの同志は、病苦や経済苦など、さまざまな悩みをかかえながらも、はつらつと広宣流布に東奔西走してきた。
それは、学会活動をしていくなかで、わが生命に脈動する歓喜を実感していたからである。そして、大地に向かって放たれた矢が、必ず地に当たるように、絶対に幸せになれるとの、強い確信があったからだ。
山本伸一は、参加者に視線をめぐらし、話を続けた。
「時には、学会活動のなかで、いやなことや辛いことに直面する場合もあるでしょう。組織での人間関係で悩むこともあるかもしれない。また、学会への誤解、無理解から、非難、中傷されることもあるでしょう。
大聖人は、『修行の枝をきられ・まげられん事疑(うたがい)なかるべし』(御書一一三六ページ)と仰せです。一生成仏を成し遂げ、広宣流布という大願を成就していくための仏道修行なんですから、大変なのはあたりまえです。
それを乗り越えることで、自分が磨かれる、強くなり、宿命の転換がなされていくんです。『大難来りなば強盛の信心弥弥(いよいよ)悦びをなすべし』(同一四四八ページ)との御聖訓を深く心に刻んで、喜び勇んで難に立ち向かう、強盛な信心の皆さんであってください」
伸一が若き日、少年雑誌の編集長として交流を結んだ作家の一人で、東北出身の野村胡堂は述懐している。
「人間には、人生の体験を、人格完成の糧にする人と、その逆をゆく人とがある」(注)
野村胡堂著 『胡堂百話』 中央公論新社

【夫が高次脳機能障害に 家族の絆で取り戻す】
●輝かしい家族の時間を取り戻そうと、小熊さんは祈った。祈りが深まるにつれ、心に深遠な静けさが訪れる。
ふと思った。
“買い物、洗濯、訪問販売の契約……全部、私のためを思ってのこと?”
そんな、ある夜。帰宅した妻を、進さんは玄関で迎えた。
「ちょっと、こっち来てよ」
そう言って、小熊さんを台所へ引っ張る。進さんは、100点のテストを自慢する子どものような顔で、ガスコンロを指さした。
鍋から、湯気が立ち上がっている。ふたを開けると、タマネギと皮付きのまま半分に切ったニンジンを煮込んだスープが。
「これ、あなたが作ったの?」「そうだよ。早く食べてみてよ」
野菜の皮むきさえ覚えていない。お世辞にも「おいしい」とは言えない味だった。
だが、自分のために作ってくれたスープ。それが何よりも、うれしい。
●“愛情スープ”を口に運ぶたび、一日の疲れが温かく溶けていく。
“戻ってきた。昔の主人が──”
●隣町の洋菓子店で、妻の大好きなクロワッサンを買ってきたこともあった。「あの頃は……」と、進さんは振り返る。
「翌日には、クロワッサンを食べた妻の笑顔を忘れているかもしれない。でも、これを食べたら、妻はきっと、活動を頑張れるんだろうなって。そう思えたことが幸せだったんだ」
喜怒哀楽を幾重にもまとい、家族は病と向き合いながら、時を刻んだ。
そして──。
本年5月、医師は、診断書につづった。
「全般的知的機能の低下、高次脳機能障害は認めない」
●朝6時。本紙の配達から戻った進さんは、洗濯機を回した。以前は色うつりの失敗もあったが、今は分けて洗濯できる。
現在、成年後見人の必要もなくなった。大根を毎日、買って帰ることもない。
この12年間は、葛藤の連続だった。だが、小熊さんは、泣くものかと涙を拭いて、前に進んだ。支えとなったのは、師匠の存在。池田名誉会長は語る。
「人生は、断じて引いてはならない。負けてはならない」
心の中での師匠との対話が、悲しみにたたずむ小熊さんの背中を押した。
朝食の後、湯飲みに熱いお茶を注ぐ夫のしぐさ。目じりにシワが寄り、幸せがにじみ出るような表情に、小熊さんは、これまでになく、家族の絆を感じる。
そんな夫に妻は、こう感謝する。
「至れり尽くせりの夫です(笑い)」

10月28日更新:3