あす、創価学会創立記念日――勇敢に帆を上げ“対話の海”へ

2012年11月17日(土)更新:1
【社説】
 晴天の空に巨大なクレーンがそびえ立つ。東京・信濃町では、1年後に迎える2013年の11・18「創価学会創立記念日」を目指しての完成へ、着々と総本部の建設が進んでいる。
 明年のテーマは「青年学会 勝利の年」。万代にわたる「人材の城」「青年の城」の構築へ、創価の友は対話拡大にまい進する。
 「人間は、対話によって人間となる」――池田名誉会長が、アメリカ実践哲学協会会長のマリノフ氏との対談で語った信念である。「文化的伝統を背景にした“言葉の海”“対話の海”のなかで鍛え上げられて、初めて自己を知り、他者を知り、真の人間へと成長していきます」と、名誉会長は強調する。


〈実際に会うまで分からない〉
 とはいえ、異なる思想信条を背景とする他者との対話は、決して容易なものではない、と感ずる人もいよう。「あの人にいくら話をしても」と、最初から対話を諦めてしまう心も生まれてくる。しかし「対話」は、何よりも互いに“顔を合わせる”ところから始まる、と心得たい。次のエピソードは傾聴に値しよう。
 「実際に顔を合わせるその時まで、論敵のことを本心より『怖い人間』だと思い、身構える」「しかし実際に長く付きあい、話を重ねれば、衝突する論点以外の生活には共通点も多く、会話も弾む。特定の思想にのみ基づいた、ステレオタイプな生き方をしている者は非常に限られていることを知り、実生活の面では様々な妥結点も見つかるようになる」(『社会運動の戸惑い』山口智美・斉藤正美・荻上チキ著、勁草書房)。
 互いが相手を「悪魔化」して捉えてきたことを、本書の著者は実際に“論敵”と語り合い、再認識したという。


〈調和・向上・尊重のために〉
 名誉会長との対談で、マリノフ氏も同様の警鐘を鳴らしていた。言葉は他者を「悪魔化」し、「分裂」を生み出すために使われることもある。これとは対照的に、「対話は、人類が授かった言語の才能を、調和と向上と他の人々の尊重のために活用する」ものであり、人類を結ぶ方途になる、と氏は語る。
 人間の心の思いを、外に出して響かせるのが声であり、言葉である。顔を合わせてこそ、心の思いも通じよう。
 一人の人間として接し、真心の言葉を交わしていけば、必ず信頼の地平は開けていく。我らも“対話の海”へと勇敢に帆を上げ、航海していきたい。
   (聖教新聞 2012-11-17)