逆境に絶望するのも人間。だが、希望を創り出していけるのも人間

2012年11月17日(土)更新:3
【名字の言】
 「人間とは何か」。その探究は、あらゆる知的営みの根幹にある。京都大学霊長類研究所松沢哲郎所長も、チンパンジーに寄り添いながら、それを考え続けてきた▼同研究所の実験・研究によると、チンパンジーの子どもは、人間の大人を超える記憶力を持つという。一方、のっぺらぼうや、目のないチンパンジーの似顔絵を見せると、チンパンジーは顔の輪郭をなぞったりするだけ。だが人間の子どもは、目などを描き加える▼ここから、チンパンジーは“目の前にあるそのもの”を見ているが、人間はそこにないものまで見ていることが分かる▼松沢所長は結論する。「チンパンジーは絶望しない」「それに対して人間は容易に絶望してしまう。でも、絶望するのと同じ能力、その未来を想像するという能力があるから、人間は希望をもてる。どんな過酷な状況のなかでも」(『想像するちから』岩波書店)▼日蓮大聖人は「大闇をば日輪やぶる」「法華経は日輪のごとし」(御書1114ページ)と仰せだ。逆境に絶望するのも人間。だが、希望を創り出していけるのも人間。そして、どんな絶望の闇をも打ち破る希望の光源こそ、妙法と教えておられる。「希望」――これこそ人間の人間たる証し、人生の宝である。(飛)
   (聖教新聞 2012-11-09)