変化の時代に新たな価値を創造

2013年3月5日(火)更新:6
・『教育と文明間対話への比類なき貢献を讃えて 』
http://d.hatena.ne.jp/yoshie-blog/20160303


【SGI会長の謝辞】
《わが生命の底力を鍛えよ
 転んでも立って歩き続けるのだ(学長の父君)
 人間教育の希望のシルクロードを》
●貴国の高名な詩人ケリムバエフ先生の「私の母」という詩の一節が、今、私の胸に響いてくるのであります。
 「母よ 母よ 母よ/母こそ この世で見つけ難い天の恵み/母は 不幸から守ってくれる力/母は 横道にそれても 真っすぐに歩かせてくれる」と。
 この詩に謳われている通りの、偉大なる貴国の「人間教育の母」こそ、ここにお迎えしたジュマカン・オムケエワ学長であられます(大拍手)。
●さらに、私の妻にまで、意義深き栄誉を賜り、御礼の申し上げようもございません。
 妻は「慎んでお受けさせていただきます。世界192カ国・地域で平和のために貢献されている尊き創価の母たち女性たちと、ご一緒に分かち合わせていただきます」と申しております。
●きょうより、私と妻も誉れある貴大学の一員とさせていただき、貴国の若き英才の皆様方と共々に「人間教育のシルクロード」を歩んでいく決心であります。

〈秘められた青年の才能を錬磨〉
●その「人間教育のシルクロード」とは、第一に、向学の喜びあふれる「価値創造の道」です。
 オシの天地にゆかりの大詩人ウメタリエフ先生は叫ばれました。
 「生き生きとした才能は、常に前進する。その才能とともに、大地は歓喜し、栄えゆく」と。
 教育という生命と生命の真剣なる打ち合いは、学ぶ喜びを躍動させながら、一人一人の青年の秘められた才能を、限りなく引き出し、ダイヤモンドの如く錬磨していく挑戦であります。
 その青年たちが、現実の社会の大地で、自らの生命を輝かせながら、新たな価値を創造してくれることは、何と希望と歓喜に満ちたドラマでありましょうか。
 貴大学のキャンパスには――
 「どんな学舎であっても、育てた卒業生の『数』ではなく、『質』で称賛されるのだ」との言葉が掲げられております。
 人生を捧げて貴大学を創立され、心血を注いで最優秀の卒業生を送り出してこられた学長の誇りと喜びは、いかばかりでしょうか。同じく大学の創立者である私の心には、熱く迫ってまいります。

〈不屈の負けじ魂で勝利の歴史を〉
●「人間教育のシルクロード」とは、第二に、不屈の執念で歩み続ける「忍耐即栄光の道」であります。
 オムケエワ学長は、貴国で女性として初めて「政治学博士」の学位を勝ち取られた先駆の大学者であられます。その道のりは、越え難い山、轟く滝、石つぶて、氷の岩などが立ちはだかる試練の連続であったと伺っております。
 しかし、学長には、どんな時にも、心から離れない父君の励ましがありました。
 小さな鉱山で働き通されながら、優しい慈愛の母君と共に7人のお子さん方を育て上げられた、大誠実で読書家の父君は、常々、こう言われていたのであります。
 「娘よ、人生は道のようなものだ。
 平らな道、真っすぐな道もあれば、曲がりくねった道や湾曲した道、石がごろごろした道、いろんな道に突き当たる。
 しかし、どんな道も歩き続ける人だけが征服できる。しっかり歩くのだ。たとえ転んでも、立ち上がって歩き続けるのだ!」と。
●東洋の仏典には、「地に倒れた人は、かえって地によって立ち上がるのである」と記されております。
 青春は、また人生は、たとえ何度、転ぼうとも、そこからまた立ち上がって、前へ歩み続けた人が、真の勝利者です。
 そして、その生命の底力を鍛え上げてくれるのが、「人間教育」の最高学府なのであります。
 特に、貴大学は、「目まぐるしく変化する経済・政治・社会・文化の環境に適応できる」力の育成を目指されております。
 わが創大生、わが創価女子短大生も、変化の時代に、強く賢く朗らかに立ち向かいながら、不撓不屈の負けじ魂で、父母も喜んでくださる勝利の旗を自分らしく打ち立てていただきたい。
 創立者として、学生と卒業生の栄光を祈らない日は、一日としてありません。

キルギスの文豪アイトマートフ氏の叫び 「我、地球人なり!」――民族や言葉の違い超える時代へ》
〈「分断の世紀」を「人道の世紀」に〉
●「人間教育のシルクロード」の第三は、平和と人道の連帯を広げる「生命尊厳の道」であります。
 長年、大政治学者として「民族の融和」の問題に真摯に尽くしてこられた学長も言われました。
 「人道主義と人権の保障が、さまざまな民族の平和共存のための将来の基礎をつくる」
 「人間は皮膚の色、言語の違いなど多様である。しかし、体には同じ血が流れ通う兄弟、姉妹であることを認識しなければならない」と。
 私たちは心から賛同いたします。
 あらゆる差異を超越して、人間は、誰人たりとも尊極なる生命を持っております。民族も、国家も、文明も超え、人間と人間が、この生命という最も普遍の大地に立脚して、互いに尊敬し合い、学び合い、助け合い、高め合っていく。
 ここにこそ、人類が「戦争と分断の世紀」を「平和と人道の世紀」へ転換しゆく鍵があるのではないでしょうか。
 私が一貫して「人間教育の交流」を積み重ねてきたゆえんも、ここにあります。
 一、私が共に対談集を発刊した貴国の大文豪アイトマートフ先生が展望されていた慧眼の叫びが、蘇ってまいります。
 「地球規模の思考が人類の意識の中で勝利する時、一人一人が国家や社会や民族や言葉の違いを乗り越えて、他者の中に、侵略者ではなく、善の思想を持つ人間の顔を見る、そうした時代が訪れる。その時、私たちの黄金の夢も叶う。
 私たち、少なくとも私たちの子孫らが、『我、地球人なり。この地上に住む人々は皆、わが兄弟なり!』と言える時が訪れるのだ」と。
 折しも、現在、貴国のアタムバエフ大統領が来日されております。
 貴国と日本の友好が一段と深まりゆくことを私は念願してやみません(大拍手)。
 とともに、貴大学と創価大学が手を携えて、「人間教育のシルクロード」を闊歩しながら、両国さらに地球の未来を明るく照らしていくことを、心からお祈り申し上げます。
 一、結びに、わが愛する青年たちに、キルギスの女性詩人ジェチカシュカエワ先生の詩の一節をお贈りし、私と妻の御礼のあいさつとさせていただきます。
 「青春――それは光よりも明るく/太陽のように熱い/そして人々に喜びをもたらし/明快に真実を言い切るのだ」
   (聖教新聞 2013-02-28)