SGI会長が主張してきた“核の非人道性”焦点に

2013年3月10日(日)更新:6
核兵器の影響めぐる国際会議 SGI会長が主張してきた“核の非人道性”焦点に】
ノルウェー政府が主催 各国代表・国際機関が参加
 SGI代表が出席
 市民社会フォーラムでは「核兵器なき世界への連帯」展も》
 ノルウェー政府の主催による核兵器の影響をめぐる国際会議が4、5の両日、首都オスロ市内で開催された。同会議は「核兵器の非人道性」が焦点に。これは、池田大作SGI(創価学会インタナショナル)会長が長年にわたり主張してきたもの。会議には127カ国の政府代表団、国連をはじめとする11の国際機関と共に、市民団体の一つとしてSGIが招聘され、創価学会平和委員会の寺崎議長が出席した。同会議に先立つ2・3日には、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)主催の市民社会フォーラムが同市内で行われ、会場に設置された「核兵器なき世界への連帯――勇気と希望の選択」展(SGIとICANの共同制作)が反響を呼んだ。
 多くの生命を一瞬にして破壊し、人々を長期にわたり苦しめ続ける核兵器。この“悪魔の兵器”廃絶に向けて今、世界に新たな潮流が生まれている。
 核兵器をめぐる議論や交渉は、これまで「安全保障」の観点がベースとなって行われてきた。
 しかし、この考え方には人間や環境に深刻な被害を及ぼすという核兵器の「非人道性」を問う視点が欠けていた。
 こうした背景のもと2010年にニューヨークの国連本部で行われた核不拡散条約(NPT)再検討会議で、最終文章に「核兵器が使われた場合の壊滅的な人道的結果」に対する懸念が、初めて明記された。
 これを契機に非人道性に基づいて核兵器使用の禁止を目指す動きが出てきたのである。

《SGIとICANが共同制作した反核展示
 核兵器の問題を考える好機 今後の世界的な展開に期待(来場者)》
 昨年5月には、次回2015年のNPT再検討会議に向けた準備委員会が開催され、ノルウェーやスイスを中心とした16カ国による「核軍縮の人道的側面に関する共同声明」が発表された。
 同声明は「冷戦の終結後においてすら、核による絶滅の脅威が、21世紀における国際的な安全保障の状況の一部であり続けていることは、深刻な懸念」「すべての国家は、核兵器を非合法化し、核兵器のない世界を実現するための努力を強めなければなりません」と呼び掛けた。
 こうした動きを受けて、核兵器についての基本的理解を深め、その非人道性を明らかにするために開かれたのが今回の会議である。
 池田SGI会長は「SGIの日」記念提言などを通じて、半世紀以上にわたり核兵器の廃絶を訴えてきた。仏法者として特に“生命の尊厳を踏みにじる兵器”という観点から、核兵器を“絶対悪”とし、非人道性を糾弾し続けてきた。
 SGI会長のリーダーシップのもと、SGIではこれまで、世界各地で反核展示や講演会等を開催。核戦争防止国際医師会議(IPPNW)など諸団体と協力して、民衆による草の根の連帯で、国際社会に核兵器廃絶の潮流を広げてきた。
 政府間の会議である今回の国際会議に、市民団体の代表としてSGIがノルウェー政府から招聘を受けたことは、こうした実績に対する評価を示しているといえよう。
 会議は三つのセッションに分かれて、爆発直後の人道的影響、開発・経済・環境への影響、被害への備えをテーマに、専門家によるプレゼンテーションや参加者との議論が行われた。
 会議では、「いかなる国家や国際機関も、核兵器の爆発が及ぼす人道上の非常事態に十分に対処できる見込みはない」との議長総括を発表。また、次回の会議をメキシコで開催することが提案され、会場に賛同の大拍手が響きわたる中、会議は閉幕した。
 一方、2・3日にはICAN主催の市民社会フォーラムが行われた。これは、同国際会議に市民社会の声を届けるために諸団体が参加したもの。70カ国から約500人が参加した。
 会議は四つのセッションで構成され、参加者との意見交換や専門家のプレゼンテーション、被爆者の講演などが行われた。
 1日には、SGIとICANが共同制作した「核兵器なき世界への連帯――勇気と希望の選択」展のテープカットが行われた。
 これには、ICANの共同代表であるティルマン・ラフ博士(IPPNW共同会長)、レベッカ・ジョンソン博士、川崎哲氏ほか、IPPNWの共同会長であるアイラ・ヘルファンド博士、ロバート・ムトンガ博士らが出席し、祝福した。
 フォーラムの期間中、展示には多くの人々が来場。「同展は市民に広く核兵器問題を考える機会を提供する優れた手段です。今後、この展示会が世界的に展開されることを心から望んでいます」などの声が寄せられた。
   (聖教新聞 2013-03-09)