冬の厳しさは、この素晴らしき春を迎えるためだったことを知る

2013年3月23日(土)更新:3
【名字の言】
 桜の便りが今年は早い。学会本部の青年桜も、見る間に淡い花びらに染まった。オオシマザクラエドヒガン。しだれ桜にソメイヨシノ。桜といっても、花の姿は千差万別。古くから日本人に親しまれてきた桜の種類は、300種以上あるとされる▼桜が麗しい花をつけ、衆目を集めるのは数週間。残りの大半は、季節の変化に対応し、懸命に、静かに生きる。暑さの中で幹を太らせ、寒さを耐え抜いた冬芽が、つぼみとなり、やがて花となる▼和歌山の紀南地方で、レストランを営む夫妻がいる。夫は28年前から慢性腎不全のため、週3回、人工透析に通いながら厨房に立ち続けた。昨年、悩んだ末、妻からの臓器移植を決断。周囲の祈りに支えられ、夫妻の手術は無事成功。糖尿病、胃がんも乗り越えた夫は、先日、会合で体験発表し、堂々の「勝利宣言」をした▼地域から愛される店には、大阪で修業を積んだ長男も加わった。献身を尽くした妻は、「苦しい時期もありましたが、絶対に勝つと決めて、祈り続けました」と▼桜を仰ぐと、御書の一節を思わずにはいられない。「冬は必ず春となる」(御書1253ページ)。冬の厳しさは、この素晴らしき春を迎えるためだったことを知る。人生もまた同じであろう。(泰)
   (聖教新聞 2013-03-22)