教育で慈悲の文明を創造

2013年4月23日(火)更新:4
【英知の光彩 名誉学術称号 受章の足跡 第21回 インド 国立デリー大学 パンダ元教務部長】
〈パンダ博士は、どのようにしてSGI会長と出会ったのですか〉
●私は博士と出会うまで、政治学、国際関係論、ガンジー哲学を30年近くにわたって、デリー大学とジャワハルラル・ネルー大学で教えてきました。また、憲法・議会研究所の所長を務め、ガンジーに関連する多くの団体と交流があったのです。
 こうした背景が私をガンジー研究者として驕らせてしまっていたのでしょうか。講演会に招待された当初、その講演に時間を割く必要はないと思ってしまったのです。しかし、少しだけならと思い直し、講演を聞いて間もなく、“この人物こそこのテーマについて語るべき人だ!”と感じました。魂と信念からあふれ出るかのような熱弁――その様子はあたかも、もう一人のガンジーを見ているかのようでした。
 講演ではガンジーの楽観主義、生涯の行動主義、民衆との卓越した交流、そして人類文明への重要な影響について語られ、私の人生において極めて重要な日となりました。私は池田先生という最愛の“教師”を見つけることができました。

〈博士は交換教員として創価大学にも来られました〉
●講演の途中でしたが、博士は常に学生の様子を気にかけておられ、「どうして髪をとかしてこなかったの?」とか、「大学の授業はどうですか?」などと問われたのです。まさにこうした自然な交流こそ、私がかつて父から聞いたマハトマ・ガンジーの振る舞いそのものでした。
 思うに、世界の指導者が会見を望む“偉大な平和哲学者”としてではなく、まるで友人同士として池田博士に出会えることは、学生にとって非常に幸運なことではないでしょうか。学者、政治家としての経歴を経る中で、私は数多くの人々と交流をしてきました。しかし、池田博士のような謙虚さと、人間主義、創造的共生の精神を体現した人物と出会ったことは、ほとんどありません。

名誉博士号の贈呈式には博士も出席されました〉
デリー大学は、暴力なき人間主義と、創造性と多様性の人間主義への不滅の貢献を讃えて、池田博士に「名誉文学博士号」を授与することを決定しました。
 授章理由を綴った書には、こうあります。
 「世界では、人間疎外、環境破壊、社会的・経済的な不公正、文化的な関係性の消滅、原理主義の台頭が危惧されている。その中にあって、博士は、人間一人一人が『価値の中心』として、『創造的変革を担う行動者』として、再び登場する社会を築くことができるという希望を広げておられる」
●私は、池田博士が展望される、価値を創造し平和を建設・促進する教育により、人間の大地は開拓され、地球市民の花が養成され、慈悲にあふれた新たな文明の創造が可能になると強く感じます。

池田博士の人生は教えている。祈りと行動が世界を変える、と》
〈パンダ博士は今、創価教育に何を期待しますか〉
●精神・経済・道徳の危機を迎えている現代世界にあって、創価大学は、池田博士のリーダーシップのもと世界平和と対話の運動における精神的支柱となるべきです。
 限られた期間ではありましたが、創価大学での経験を通し、私は愛と慈悲と平和に基づく創価教育のシステムが、日本の教育界において奇跡を起こし、いずれは世界の教育を先導していくであろうと感じました。
 池田博士の生涯は、全ての人々へのメッセージです。自己を変革することで、私たちの努力と誓い、祈り、対話、そして笑顔が、「世界を変える力」になるという博士の言葉を私は心から信じています。
 ガンジーの理念は普遍的でしたが、平和運動家としての役割は、時代性もあり、ほとんどインドに限定されていました。池田博士はガンジーの根本的な理念を世界中に広げてこられたのです。
 博士の平和への対話は、ガンジーの理念、法華経の教え、(古代インドの宗教哲学である)ウパニシャッドの、見事なる融合であります。
 「9・11同時多発テロ事件の後、池田博士は語られました。“対話が永続的な解決法の鍵である。私たちは今こそ、これまで以上に互いを理解し、真摯な対話に臨む努力をしなければならない。私たちは人間性とお互いへの信頼を回復し、新たにしなければならない”――まさにこれこそ、踏みにじられた“声なき声”に応える道なのです。


《世界はなぜ讃えるのか 解説 もう一人のガンジーが》
●若き友に対する知的啓発はもちろん、渾身の励まし、こまやかな心遣いによって、その人の持つ無限の可能性を大きく開花させていく。民族や宗教の差異も超えて。それがSGI会長の人間主義である。
 パンダ博士は言う。「まさに池田博士の振る舞いこそ、私が父から聞いていたマハトマ・ガンジーの振る舞いそのものでした。ここ東京で、もう一人のガンジーと出会えたことは本当に幸運であり、誇らしく思います」
   (聖教新聞 2013-04-21)