杉はスグなる木也とみえたり。其木の直なるをいひし也

2013年7月10日(水)更新:1
【名字の言】
 山間地域の奈良・吉野郡には、万葉集にも詠まれた美しい景色が多く見られる。その風景を彩る一つに吉野杉がある。日本三大人工美林の一つにも数えられる▼江戸時代の儒学者新井白石国学者本居宣長は、「杉」の語源に言及している。白石は『東雅(とうが)』で「杉はスグなる木也(なり)とみえたり。其(その)木の直(スグ)なるをいひし也」と、真っすぐに伸びることに由来すると考察。一方で、宣長は『古事記伝』で「須岐(すぎ)は進木(ススギ)なり(中略)ただに上へすすみ上(のぼ)る木」と。上へ進む「進木」と述べている▼2人の論考はいずれも、「杉」の成長力への視点で共通している。上へ上へと、真っすぐに進んで伸びていく――その姿は、何ものにもひるまず、理想に向かって生きよと、人間の生き方を教えているかに思える▼吉野郡で工務店を経営する男子部のリーダーがいる。奈良県の約3分の1の面積にも及ぶ広大な地域が活動の舞台。同志の激励に奔走し、今年3月には、自らも12年連続となる弘教を果たした。率先垂範の姿に、新たな人材が次々と伸びている▼男子部、女子部が結成された7月は、学会にとって「青年の月」。自身の「生命の殻」を打ち破りながら、勝利の峰へ、真っすぐに進みたい。向上する限り、人は「青年」である。(芯)
   (聖教新聞 2013-07-10)