師子王は百獣にをぢず・師子の子・又かくのごとし

2013年12月31日(火)更新:7
・『児童の内面を、しっかりと見すえていくことです』
http://d.hatena.ne.jp/yoshie-blog/20190427


【新・人間革命 若芽 五十六】
 「児童祭」では、一年生のオペレッタ(歌劇)、二年生のリズムダンス、三年生の演劇などが披露された。山本伸一は、児童の熱演と成長に目を細め、心から拍手を送った。
 あいさつに立った彼は、こう語り始めた。
 「創価小学校で学んだ人のなかから、人類を救っていくであろう指導者がたくさん出ると、私は信じております。その意味から、今は、わかっても、わからなくてもいいので、人の生き方について、お話しします」
 彼は、『イソップ物語』に出てくる「ロバを担いだ親子」の話をした。
 ――市場にロバを売りに行くため、親子がロバを引いて歩いていると、村の娘たちが、「ロバに乗っていけばいいのに」と笑った。
 それを聞いて、父親は、子どもをロバに乗せて歩き始める。すると、やって来た父親の友だちに、「子どもを甘やかしてはいけない」と注意される。父親は子どもを歩かせ、自分がロバに乗る。しばらく行くと、若い女性から、「自分は楽をして、小さい子どもを歩かせるなんて、ひどい父親だ」と非難される。親子は、二人でロバに乗る。
 さらに、教会の前で牧師から、「ひどい親子だ。ロバが疲れて弱っているじゃないか」と言われる。紛動されやすい親子は、どうしていいかわからない。牧師が「ロバを担いであげなさい」と言うので、ロバの足を棒にくくりつけ、担いで歩き始める。しかし、橋を渡る途中、逆さにつるされたロバは苦しくて暴れだし、川に落ちて流されてしまうのだ。
 伸一は、周囲の無責任な声に振り回されることの、愚かさを伝えたかったのである。
 民衆の幸福のために立ち上がれば、誤解や嫉妬から、非難や中傷を浴びるものだ。その時に、紛動されることなく、信念に生き抜いてこそ、人間の正義は貫かれることを知ってほしかった。
 日蓮大聖人は、信念に生きる至高の人間の生き方を、こう表現されている。
 「師子王は百獣にをぢず・師子の子・又かくのごとし」(御書一一九〇ページ)
■参考文献
 『オールカラー版世界の童話1/イソップのお話』波多野勤子・浜田廣介・村岡花子監修、小学館
   (聖教新聞 2013-12-26)