災難対治抄

災難対治抄


邪智にして心諂曲に未だ得ざるをこれ得たりと謂い我慢の心充満せん 是の人悪心を壊き国王・大臣・婆羅門・居士及び余の諸の比丘に向つて誹謗して我が悪を説いて其れ邪見の人・外道の論議を説くと謂わん悪鬼其の身に入る(P81)


問うて曰く諸の悪比丘等国中に充満して破国・破仏戒等の因縁を説くことは仏弟子の中に出来す可きか外道の中に出来す可きか。
答えて曰く仁王教に云く「三宝を護る者にして転(うた)た更に三宝を滅し破らんこと師子の身中の虫の自ら師子を食うが如し外道には非ず」(同)


小乗を以て権大乗を破し権大乗を以て実大乗を破し師弟共に謗法破国の因縁を知らざるが故に破仏戒・破国の因縁を成して三悪道に堕するなり。(同)


未だ位深からず信心薄く口にじゅすれども其の義を知らず一向名利の為に之をじゅす先生の謗法の失未だ尽きず外に法華経を行じて内に選択の心を存す此の災難の根源等を知らざる者は此の難を免れ難きか。(P84)


人仏教を壊らば復孝子無く六親不和にして天神祐(たす)けず疾疫悪鬼日に来りて侵害し災怪(さいげ)首尾し連禍(れんか)せん(同)


先ず此の災難の起る由を勘う可きか若し爾(し)からざれば弥(いよいよ)亦重ねて災難起る可きか(P86)