TURNING POINT 出会いが道を開いてくれた

●身も心もボロボロのときに、男子部の人が来てくれたんです。いろいろ聞かれても、「はい。……はい」と、ため息をつくみたいに答えるだけ。仕事で疲れてんのに、はよ帰ってほしいなぁって(笑い)。
その先輩、ひとこと話すのにも、すごい時間がかかる。恐る恐る話す感じ。何でこんなに緊張してんねん?不思議で。まぁ、あのころの僕は、街に出て、けんかばっかりやってたから。見た目も怖かったのかもしれない(笑い)。
先輩は、毎日のように平山さんを訪ねてきた。雨の日も雪の日も。
ある日、母から聞いた。先輩は、右半身に力が入らない病気。しゃべるのも苦手で、それで信心したらしい。最初は自己紹介もできないほど。けど、活動するうちに、人前でも話せるようになった。右手も動くようになった、と…。
数ヶ月が経った。ある日、初めて、自分から尋ねた。「何でこんなに、自分のところに来るんですか?」
少し驚いた顔を見せたが、しっかり答えてくれた。
「僕は、障がいを持って生まれたんです。友達も一人もいなかった。けど、学会の人と出会って『負けるな』って初めて励ましてもらったんです。生きる希望が湧いてきた。その恩返しのために、人に尽くしていきたいんです」
何でだろう。そのときの先輩の姿は、大きく見えた。目的を持って生きていることが、素直に“すごい”と感じられて、心が動いた。この人が言うんだったら──。
会合に参加してみる。とにかく熱い。誰かのために本気で悩んで、動いている。圧倒された。遊び回り、けんかばかりしてた自分が恥ずかしくなった。 (聖教新聞 6面 2011-10-01)

10月1日更新:4