SGI会長は苦しみの心知る指導者

【英知の光彩 名誉学術称号 受章の足跡 第5回 ナイロビ大学 インダンガシ博士(ケニア作家協会会長)】
──50年以上前から「21世紀はアフリカの世紀」と提唱し、その実現に尽力し続けてきた池田SGI(創価学会インタナショナル)会長。その行動と哲学を讃え、アフリカでは、4ヵ国5大学から名誉学術称号が贈られている。ケニアの名門・国立ナイロビ大学も、その一つ。1992年12月に「名誉文学博士号」を授与している。SGI会長への授与を推薦した、同大学文学部教授のヘンリー・インダンガシ博士に話を聞いた。

〈ナイロビ大学が、池田SGI会長への名誉文学博士号の授与を決定した経緯についてお聞かせください〉
そのことを語る上で、外すことのできないエピソードがあります。それは、1991年。わが大学の名誉学位委員会において、池田会長への名誉博士号の授与が検討され始めていた時のことです。
私たちは、会長の長年にわたる世界的な平和運動をはじめ、その膨大な著作について認識を深めていました。しかし、委員会の会議が開かれる数日前。私は、いまだ触れたことのなかった、会長の一編の詩に出あったのです。
そのタイトルは「人道の旗 正義の道」──非道なアパルトヘイト(人種隔離政策)と戦い抜いた南アフリカの人権の闘士、ネルソン・マンデラを讃え謳(うた)ったものでした。
そこには、こう綴られていました。

「空を覆うむら雲も 赫々(かっかく)たる太陽の光を 隠すことはできない 肉体は くびきに繋がれるとも 不屈の魂を 屈服させることは 誰びとにもできはしない」
「敵をも心服させる あなたの大きさ 万人をも包みゆく あなたの深さ その人類愛の光彩は すべての 人間のなかに脈打つ 大いなる実在を 強く 優しく 輝かせてやまない」

私は強い感動と共に、こう確信したのです。“池田会長は、マンデラの経歴を詳しく調べているだけではく、マンデラの心に共鳴している。「アフリカの心」を深く知ってくださっている!”と。
そして迎えた名誉学位委員会の席上。この詩が高らかに読み上げられた時、その場にいた誰もが感嘆の声をあげました。私たちは池田会長の中に、深く、大きな、思いやりのある思想家の姿を見いだしました。さらに、人間性の価値を高め、文化や人種の壁を破る「平和の勇者」の姿を見いだしたのです。
私たちは、会長を讃え、交流を育んでいかねばならない──名誉学位の授与が満場一致で決定した瞬間でした。
〈ナイロビ大学では、SGI会長の著作が学ばれていると伺いました〉
私が所属している文学部では、2003年から3年連続で会長の著作を学ぶ科目が開講され、反響を呼びました。
私自ら講義を担当したこともあります。会長の対談集をはじめ、児童文学、詩などを通し、「会長の平和思想」「対話の精神の重要性」について学び合ったのです。
現在、文学部では、「平和と文学」について研究する新たな講座を検討中で、その中で池田会長の著作をさらに深く学んでいく予定です。
SGI会長の思想・哲学は、学生にどのような影響を与えていると思われますか〉
現在、ケニア社会は、経済格差や高い失業率、民族間の軋轢(あつれき)・摩擦といった問題を抱えています。
その中で学生たちは、貧しい生活にもかかわらず、「ケニア社会に尽くす人材に成長しよう」と、わが大学の門をたたくのです。年齢層はさまざま。20歳前後の若者だけでなく、50代以上の壮年・婦人もいます。働きながら、未来のために学ぶ人も──。
こうした学生たちにとって、会長の「自分が変われば環境も変わる」「いかなる運命も、自らの意志と努力によって転換することができる」との哲学は、希望の光源として映っているのです。
〈インダンガシ博士ご自身は、SGI会長の行動や哲学をどう評価されていますか〉
大きくは二つあります。
まず第1に、世界平和への「たゆまぬ行動」です。
ケニアは、独立以来、長きにわたり、平和という状況が保たれていました。
しかし、2007年12月の大統領選挙への抗議行動から暴動が引き起こされ、国民に苦い教訓を残したのです。
私たちは知りました。平和とは、自分たちの力で育てていかなければならないものである、と。さらに、そのために努力し、護り続けていかなければならない、とも。
そのためにも、私たちは、池田会長の行動と哲学を、繰り返し学んでいかなければならないと思うのです。
第2に、会長が「21世紀はアフリカの世紀」と語られている点です。
私は、会長の次の言葉に耳を傾けたいのです。
「アフリカは『暗黒大陸』ではないのだ。『暗黒』は外からもたらされたのだ。
アフリカは『貧しい大陸』なのではない。強奪されて『貧しくさせられた』のだ……そして冷戦の時代には、東西の代理戦争の舞台となり、大国の武器商人が儲けた」
「こうして疲れはてた人々に対して、かけられた言葉は、『だからアフリカは、だめなんだ』であった。なんという傲慢か」
「『人間』として見ない、『レッテル』で見る──これは南アフリカだけの特殊事情ではない。人権抑圧の根っこには、いつも、この錯誤がある」
池田会長は、アフリカを、そしてアフリカ人を、きわめて包括的に、温かな人間主義の眼(まなこ)でとらえておられます。これほどアフリカに対して、人間的な心で向き合ってこられた日本人が、指導者が、他にいるでしょうか。
会長の言葉の通り、この21世紀がアフリカの世紀となることこそ私たちの希望です。私たちは会長と共に、平和へ進んでいきたいのです。 (聖教新聞 2011-10-07)

10月7日更新:5