人間の機関紙、聖教新聞

2012年3月25日(日)更新:2
【名字の言】
 世界で一番短い手紙は、文豪ユゴーのものといわれる。『レ・ミゼラブル』の出版後、売れ行きについてユゴーが出版元に「?」と尋ねる。その返事は「!」だった
 同書が発売されたのは150年前の3月。ユゴーは当時、亡命し権力者の弾圧と戦っていた。民衆の苦悩をテーマとした小説は、「!」が示すように爆発的に売れた
 同書の出版記念会で、彼が行った演説が残っている。「活字文化は社会の光であります」「活字文化がなかったならば、漆黒の闇が続きます」(稲垣直樹訳、『ヴィクトル・ユゴー文学館 第9巻』潮出版社
 遠く離れた相手に、11年越しの弘教を実らせた札幌市西区の男子部本部長。「無冠の友のおかげです」と語っていた。11年間、配達され続けた本紙を通し、相手は人間主義の哲学に理解を深めてきた。弘教の喜びと感謝を、彼は真っ先に配達員に報告した
 人の心を動かすのに、真剣なまなざし、誠心誠意の声に勝るものはない。一方、活字の力は情報を編集し、解釈し、深く、分かりやすく、より多くの人に伝えられることにある。男子部員の喜びの声に、「人間の機関紙」を標榜する本紙の使命を再確認した。ユゴーの言を心に刻み、仏法の慈悲と英知の光を送り続けたい。 (聖教新聞 2012-03-25)