仏法の宿命転換の法理を語る

2012年3月27日(火)更新:4
【池田・トインビー対談から40周年 忘れ得ぬ瞬間(とき)】
 ここに、何冊かのメモ帳があります。1973年に池田先生に同行し、トインビー博士との対談の取材にあたった記録です。
 トインビー博士は、「ミスター池田と本質的なことを語りたい」と言っていました。当時、学会には非難中傷の嵐が吹き荒れていました。それを承知した上で、博士は、人類のために語り合おうと提案されたのです。
 私は録音の係も兼ねて、対談の部屋の隅にいました。博士から「過去から続く仏法の宿業論には、自由があるのでしょうか。宿業は変えることができるのでしょうか」と質問がありました。
 先生は、日蓮大聖人の仏法の因果倶時の宿業論を展開しながら、「因果は瞬間瞬間に動いていく。常に自身の宿命転換、社会変革への強い生命力を最大限に引き出していけるのが人間革命の哲理です」と語られました。
 博士は、「イエス!イエス!」と目を輝かせ、うなずきながら耳を傾けていました。
 そして、先生は「これは、21世紀の生命、世界、人類を変革し得(う)る急所であると確信しています」と断言されたのです。博士は静かな笑みを浮かべておられました。
 対談の最後に、先生はトインビー博士に「私個人に忠告がありましたら……」と聞かれました。その際、「戸田先生がいらっしゃらないので」と言われたのです。
 池田先生は、戸田先生と共に生きておられるのだと実感しました。博士に恩師の面影を見ておられたのかもしれません。 (聖教新聞 2012-01-01)