師匠の教育の夢を実現

2012年5月18日(金)更新:2
【英知の光彩 名誉学術称号 受章の足跡 第14回 リオデジャネイロ州立大学 ペレイラ元総長 平和を愛するがゆえにSGI会長の核廃絶の行動を支持】
*池田SGI会長のことをお知りになり、名誉博士号の授与を決定された経緯を教えてください
●池田会長を初めて知ったのは、会長の著書を通してでした。会長の美しい文学の中に、また人権を守り抜く人間主義にあふれた作品の数々に、深い感銘を受けました。
 これらの著作は、人類の大事業に生涯を傾けられた会長の慈愛と献身の証左にほかなりません。
 私は、リオデジャネイロ州立大学の審議会に池田会長を名誉博士に推薦する根拠として、会長のこうした文化、人権、教育への多大な貢献と核廃絶といった世界平和へのたゆみなき戦いを、まず挙げました。

*貴大学がSGI会長のビジョンから参考にしていることはありますか
●大学の重要な役割の一つは、未来を担う青年を育成することです。知識の蓄積や研究の集積は、確かに人類に多くの恩恵をもたらすことが可能ですが、それ以上に人間の尊厳や祖国のために立ち上がっていく高い意識に目覚めた市民を形成する人間的価値の創造こそが不可欠です。
 池田会長の人間主義の思想は、そうした私たちの方向性に大きな示唆を与えてくださっています。
 もう一つ強調しておきたいのは、会長の行動の原点が、牧口初代会長、戸田第2代会長の遺志を断じて実現してみせるという「誓い」にあることです。師から受けた教えを忠実に守り、生涯をかけて実践し、継承し続けていく弟子がいることほど、幸福で、掛け替えのないものはありません。師匠の教えを常に学び、深めていってこそ真の弟子です。教育事業における先師・恩師の夢を現実のものとした池田会長の業績が世紀を超えて栄え続けていくことは、間違いありません。

*元総長は、ブラジル文学アカデミー文学賞を受けている著名な作家でもあります。印象に残った会長の著作を挙げていただけますか
●イギリスの歴史家アーノルド・トインビー博士との対談集『21世紀への対話』は、心の底にまで響く、未来を決しゆく人類の教訓です。
 生命、科学技術、哲学、宗教、さらには人類の文化史の軌跡を探究しゆく2人の深い知性によって、人類の直面する問題が、明快かつ博識豊かに、あまねく議論されています。まさに20世紀を代表する貴重な作品の一つです。
 好戦的かつ極端なまでに狂信的な原理主義指導者のもと、地球規模でテロリズムの脅威が広がる時代に私たちは生きています。ゆえに、同書の第3部で、池田会長とトインビー博士が現代世界における「宗教の役割」について論究されている箇所は、とりわけ重要であると思います。
 同書とは別に、座右の書としている著作は、池田会長とローマクラブ創設者アウレリオ・ペッチェイ博士との対談集『21世紀への警鐘』です。
 ここでは、残忍で抑圧された人間性から、愛や慈悲の方向へ転換しゆく「自己の変革――人間革命」こそが必要であると主張されています。
 さらに私は、牧口・戸田・池田と続く、3代の会長の思想と行動の集大成であり、創価学会人間主義に立脚した素晴らしい歴史を知ることができる感動巨編・小説『人間革命』も何度も読み返しています。

*ブラジルの伝統に「平和の愛」があると思います。平和を愛する市民意識の源泉となっているものは何でしょうか
●ブラジルは伝統的に平和国家です。憲法にも、核兵器の所有や開発を禁止し、外国との関係においても人権を尊重し、テロ行為や人種差別を一切放棄し、平和のために民衆間の自立と協力を推進することなどが明記されています。
 1968年4月には、中南米地域を核兵器禁止地帯に定めた「トラテロルコ条約」が世界に先駆けて発効されました。冷戦下に暮らしていた当時、われわれは、まさに核の脅威にさらされ、米ソの戦場と化すことに恐れを抱いていました。全ての生命を抹殺しうる核兵器は、地上から一掃すべきなのです。
 だからこそ、池田会長の平和への、核廃絶へのたゆみなき戦いに尽くされたご生涯、そのご著作に重要な意味があるのです。 (聖教新聞 2012-05-18)