苦悩を突き抜けて歓喜へ

2012年6月1日(金)更新:4
【名字の言】
 「運命はこのように扉を叩く」。交響曲第5番、「運命」と呼ばれる曲の冒頭の音律について、ベートーベンは、こう語ったと言われる。人生の苦難は、しばしば突然、襲ってくる
 「右足を切断しなければ、再発、転移の可能性は90%以上です」。12年前、奈良の婦人部員は足首にできた悪性肉腫(がん)の宣告を受けた。「なぜ私が……」。目の前が真っ暗になったが、“絶対に、この足で生き抜く”と決め、2度の大手術を耐え抜いた
 心にあったのは、1982年の関西青年平和文化祭。池田名誉会長が見守る中、高等部の一員としてリズムダンスを舞った。今年で30年。病を乗り越え、今、支部婦人部長として、愛する地域を守り抜く
 楽聖ベートーベンの曲が今も胸を打つのは、聴覚が失われゆく苦悩との闘いの中から作品を生み出したからだ。「苦悩を突き抜けて歓喜へ」。彼の言葉を通し、名誉会長は綴る。「試練に負けず、勇気をもって苦難に打ち勝つ、その時、自分らしい『歓喜の歌』が、わが生命の青空に轟き渡る」と
 運命を切り開く力は、わが生命の中にある。6月1日は、1918年、「歓喜の歌」が日本で初演された日。どんな苦難にも、断じて前へ――歓喜に至る前進を開始したい。 (聖教新聞 2012-06-01)