私と同じ志をもった青年たちに、すべてを託す以外にないんだよ

2012年7月7日(土)更新:1
【新・人間革命 厚田 二十】
 青年たちの墓地公園の感想を聞いた山本伸一は、力を込めて語った。
 「この墓地公園も、みんな青年部の諸君が受け継いでいくんだよ。
 青年は、学会の宝だ。どこまでも純粋に、広宣流布という大志、大望をいだいて、勇敢に突き進むことができるからだ。
 学会も安定期に入った。すると、これから、学会の本来の使命、目的である広宣流布を忘れて、学会のなかで、上手に生きていくことばかりを考える人間も、出てくるだろう。
 そうなれば、組織も守りに入り、たちまち保守化し、官僚化してしまう。そうさせないためには、“世界の広宣流布のため、人類の幸福と平和のために、戦い続けよう!”とする、私と同じ志をもった青年たちに、すべてを託す以外にないんだよ」
 それから伸一は、目を細め、遠い彼方を仰ぎ見るようにして、静かに言葉をついだ。
 「あれは、昭和二十六年(一九五一年)七月の、男子部の結成式前夜だった。戸田先生は、東京の市ケ谷にあった大東商工の事務所で、私に言われた。
 『いよいよ明日は、男子青年部の結成式だな。私は青年部に広宣流布を託す。青年は、その具体的な実践として、私が会長就任の日に発表した会員七十五万世帯を、全責任をもって達成してもらいたい。伸一、できるか!』
 私は、先生のお顔を、じっと見つめた。
 覚悟はしていたが、意外といえば意外な言葉であった。学会には、牧口先生の時代に入会した錚々たる幹部がいたし、私は結成式で、男子部の首脳幹部ではなく、最前線組織のリーダーである班長になると告げられていたからだ」
 ――戸田は、伸一の心をすべて察知しているかのように、こう話を続けた。
 「私は、牧口門下生には、広宣流布は頼まん。次の会長も牧口門下生ではない。青年部出身者だ。仏法に殉ずる覚悟をもった者でなければ、広宣流布の戦いはできないからだ。だから青年に期待するのだ」  (聖教新聞 2012-07-07)