言葉や行動に心が寄り添う生き方こそ「心こそ大切」の実践

2012年9月29日(土)更新:1
【名字の言】
 冒険家・星野道夫氏の著書『旅をする木』に、発掘調査へ向かう探検隊の逸話が紹介されていた。キャラバンを組み、山岳地帯を旅していたある日、荷物を担ぐシェルパストライキを起こし、動こうとしなくなった。日当を上げろという要求かと思い、代表者に理由を聞くと、意外な言葉が返ってきた
 「私たちはここまで速く歩き過ぎてしまい、心を置き去りにして来てしまった。心がこの場所に追いつくまで、私たちはしばらくここで待っているのです」と。効率を優先する生き方への戒めとして心に染みる言葉だった
 変化する時代の中で、私たちにも見失ってきたものが少なからずある。だが、それらを嘆く前に、自分が忙しさを理由に家族や友人に対し、「心ここにあらず」という振る舞いをしていないか、見つめ直したいものだ
 人が誰かの言葉や行動に感動するのは、そこに込められた“相手の心”が伝わってくるからである。言葉や行動に心が寄り添う生き方こそ、仏法が教える「心こそ大切」の実践であろう
 祈るとは、課題や目標を前にして躊躇する自分を奮い立たせ、自分の心を、課題解決や目標達成の方向へ近づけていくことではないだろうか。そこに思いが定まった時、勝利への道が開けていく。
   (聖教新聞 2012-09-27)