具体的な「一人」から離れず「一人」を幸福にする為に学会は戦ってき

2012年10月25日(木)更新:2
【名字の言】
 ある女性オペラ歌手が、コンサートツアーで全国を巡る最中に、最愛の母を亡くした。北海道に赴いた時、ナナカマドの木々が並ぶ景色を目にする。それは、母が好きな木だった▼「ああ、お母さんだ」。悲しみの中、空へ伸びて立つ木に、一番の理解者であり、ファンでいてくれた母の姿を重ねた▼そして、彼女はステージに立った。母が自身の希望の存在だったように、“一人でもいい、自分の歌声で誰かを励ませるなら”との思いをこめて。会場に響いた彼女の歌声は、普段よりも一層、聴衆の心を強く打ったに違いない▼駆け出し記者のころのこと。先輩から「君は誰のために書くのか?」と問われた。「全国の読者です」と答えると、先輩は言った。「今、君が一番励ましたい、苦しんでいる人を思い浮かべて書くんだ」と▼「人類全体を愛するようになればなるほど、個々の人間、つまりひとりひとりの個人に対する愛情が薄れてゆく」(原卓也訳)。ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』の一節を引きつつ、池田名誉会長は、こう語った。“抽象的な「人間愛」を語るのは簡単だ。具体的な「一人」から離れず、「一人」を幸福にするために創価学会は戦ってきた”と。本紙の使命もまた、その一点に。(仲)
   (聖教新聞 2012-10-24)