「勇気の人」が歴史をつくる

2012年11月5日(月)更新:5
【社説】
 「そんなこと、できっこないよ!」
 世界で唯一の非武装永世中立国コスタリカのアリアス元大統領は、幼いころから、こう言われるたびに闘志を燃やした。戦火の絶えなかった中米に劇的な和平をもたらし、“中米の奇跡”を実現させた、このノーベル平和賞受賞者を、池田名誉会長はたたえた。
 「勇気をもって、だれかが立ち上がらなければならない。旧来の思考や既得権益に、しがみつく人々からは総攻撃されるかもしれない。しかし、立つべきです。その人が歴史をつくります」


〈“無尽蔵の宝”が自分の中に〉
 日本IBM相談役の北城恪太郎氏は今、企業が求めている人材は、「新しいことに挑戦する人」だと言う。新しいものを作り出す力、つまりイノベーション(刷新、変革)を起こす力を持った人材を時代は求めている。そのために必要なことは、「何かやってやろうという熱意」「口先だけではない行動力」だそうだ。
 歴史を動かす人。社会が求める人――それは「勇気ある人」である。  御聖訓に「あなたがた一人一人が師子王の心を取り出して、どのように人が脅そうとも、決して恐れてはならない。師子王は百獣を恐れない。師子の子もまた同じである。彼ら(正法を誹謗する人々)は野干(狐などのような、よく吠える小型の獣)が吼えているのと同じである。日蓮の一門は師子が吼えているのである」(御書1190ページ、通解)とある。
 「師子王の心」とは、どんな困難にも負けない勇気のことだ。
 「この勇気は、自分の外にあるのではない。自分の胸中にある」「しかし、どれほど多くの人々が、この無尽蔵の宝を封印して、臆病、弱気、迷いの波間に漂流していることか。これほど、もったいない人生はない。勇気を『取り出して』、胸中の臆病を打ち破ることだ」と名誉会長は語る。


〈師と心を合わせ一歩前進〉
 では、その勇気を「取り出す」要諦とは――それは、「師子王は百獣を恐れない。師子の子もまた同じである」との一文に記されている。
 つまり、民衆のために無限の勇気を発揮する師と心を合わせることで、弟子にも同じ勇気がみなぎってくるのだ。
 かのアリアス元大統領も、“無名の庶民の期待を思うと、一歩踏み出す勇気が湧いた”と述懐する。我らは、偉大な師を思い、民衆の幸福を願い、渾身の勇気で、一歩前進の拡大に打って出よう。
   (聖教新聞 2012-11-01)