あすから全国火災予防運動 「自分は大丈夫」との油断排そう

2012年11月15日(木)更新:7
【社説】
 中国の古典「孫子の兵法」に「火攻」というのがある。古来、火は“武器”として使われ、恐れられてきた。
 日々の暮らしにおいても、ちょっとした油断が引き金となって火災が発生し、大惨事に発展しかねないことを、肝に命じておきたい。
 あす9日から15日まで「秋季全国火災予防運動」が実施される。総務省消防庁の発表によると、昨年は住宅火災が1万4973件発生、死者の66%は65歳以上の高齢者であった。建物火災の原因としては、「こんろ」「たばこ」「放火」「ストーブ」で4割を占めた。


〈石油ストーブの事故が激増〉
 こうした背景を踏まえ、消防庁では住宅防火対策のために七つのポイントを掲げている。概要は、(1)寝たばこは、やめる(2)ストーブは、燃えやすいものから離す(3)ガスこんろなどから離れるときは火を消す(4)住宅用火災警報機を設置する(5)寝具、衣類及びカーテンに防炎品を使用する勇住宅用消火器等を設置する(7)隣近所の協力体制をつくる――である。
 一方、本格的な冬に向けて暖房器具、特に石油ストーブへの注意が呼び掛けられている。石油ストーブは昨年度の事故件数が、一昨年度に比べ約6割も増加(独立行政法人製品評価技術基盤機構まとめ)。原因は、石油タンクのふたのゆるみ、可燃物の接触、洗濯物の落下などが挙げられる。「放火」にも注意したい。家の周囲に可燃物を放置しないなど、監視の目が行き届いているとアピールすることが重要である。
 火災発生の際、早期対応できれば大事に至らない場合も。初期段階で大切なことは、まず自分の身を守ること。119番通報とともに、避難路を確保しながら初期消火にあたる。火が天井まで達している場合は、決して無理をせず、速やかにその場から離れよう。


〈可燃物と火の元をチェック〉
 さらに、防災講習会や防災訓練などに家族で参加し、意識向上に努めたい。火災を起こせば、隣接する家屋にも被害が及びかねない。自身が火元にならないことが、地域を守ることにつながる。また、わが地域から火災を出さないとの気配りが、自身を守ることにもなる。
 池田名誉会長は折々に、「物事を甘く見て慢心になり、油断が生ずる」「不測の事態に対する備えを怠ってはならない」等と語っている。
 「自分は大丈夫」との油断を排し、絶対無事故の日々を過ごしたい。
   (聖教新聞 2012-11-08)