福光の春を目指す一歩一歩に寄り添い心を合わせ、共に励まし進みたい

2013年1月11日(金)更新:3
【名字の言】
 作詞家の阿久悠さんの文章は、自筆で、縦書きが多かったという▼縦書きにこだわったのには訳がある。届けた相手が文面を読む。その時、横書きでは否定するかのように首を左右に振ってしまうが、縦書きなら自然とうなずくようになる。それが、理由だったらしい▼星の数ほどヒット曲を世に送った指先には、天賦の才能だけでなく、人と人との”心の共鳴”を何よりも大切にする思いが宿っていた。だからこそ、多彩かつ複雑な人間模様を、あれほどに味わい深く、聴き手の心に届けることができたのだろう▼この新春は、昨年以上に多くの福島の友から賀状が届いた。希望を見いだし、前進している様子が、文面からうかがえた。中に、福島県外に避難する友からの賀状があった。昨年は来なかったが、今年は文末に力強い自筆で3行の言葉が書き加えてあった。「1年目、負けなかった/2年目、負けなかった/3年目、負げでたまっか!」――それは、2年掛かりで絞り出した渾身の決意のように思え、読むこちら側も強くうなずいていた▼大震災から1年10カ月になる今、復興の状況は一様ではない。だからこそ、それぞれの友が福光の春を目指す一歩一歩に寄り添い、心を合わせ、共に励まし進みたい。(城)
   (聖教新聞 2013-01-11)