未来対話 祈りは青春勝利の力

2013年2月5日(火)更新:8
【未来対話 君と歩む勝利の道 第10回 創価学会名誉会長 池田大作
〈唱題と努力が不可能を可能に〉
日蓮大聖人は、率直に質問を寄せてきた門下を、最大に讃嘆されました。
 「仏法について疑問を持ち、その意味をお尋ねになったことは、尊い大善の行いです」(御書1402ページ、趣意)と。
 ですから、みんなが、信心について考え、質問すること自体に、実は大きな功徳があるんです。
 では、なぜ祈りはかなうのだろうか。それは、君自身に、もともと祈りをかなえる力があるからです。あなた自身が、本来、無限の可能性を秘めた存在だからです。
 仏法では、すべての人々に、一人ももれなく、「仏界」すなわち仏の生命が厳然と具わっていると説かれています。
●「一人一日の中に八億四千念あり」(同471ページ)とされるくらい、人の心は縁によって目まぐるしく変化します。では、一番、力強い「仏界」を引き出していくためには、どうすればいいのだろうか。
 結論からいえば、「南無妙法蓮華経」と御本尊に題目を唱えること。この祈りから始まるのです。
       ◇
 ――唱題すると、なぜ、仏の生命が湧き出してくるのでしょうか。
●「南無妙法蓮華経」が、仏の生命の“名前”だからです。みんなもそれぞれ、名前を持っています。「○○君」「○○さん」と呼ばれれば、「はい」と言って、振り向くよね?
 同じように、「南無妙法蓮華経」の題目を唱えることで、自分の中から、仏界の生命が呼ばれて、「はい!」と元気良く出てくるんだ。
●「我が生命の中の仏性が南無妙法蓮華経と呼ばれてあらわれるところを仏というのである」(557ページ、趣意)と仰せです。
●南無妙法蓮華経は、宇宙を貫く根源の法です。太陽や星が運行していく究極の力でもあります。
 宇宙のあらゆる存在の奥底に、みんなと同じく南無妙法蓮華経が厳然と具わっている。ですから、ひとたび、題目を唱えれば、そのすべてが呼び起こされ、味方となっていくんです。
●題目は、宇宙のあらゆる仏界を呼び起こす合言葉といえる。
 唱題をすることで、自身に宇宙大の可能性を開いていくことができる。自分でも気づいていない、本当の自分の力を湧き立たせていくことができるのです。
 そして、宇宙の善の力をすべて味方にしていくのだから、これほど強いことはないんだよ。
 これは、戸田城聖先生の弟子として、世界に仏法を弘めてきた、私の人生の確信です。
 今、題目を唱える創価の連帯が世界192カ国・地域に広がっていることは、妙法の偉大さの何よりの証明です。
 仏教発祥の国・インドの地にも今、皆さんと同じ世代の友が唱題に挑戦しています。実は、インド独立運動の大指導者、マハトマ・ガンジーも、「南無妙法蓮華経」の題目を、祈りに取り入れていました。この非暴力の闘志は、あらゆる行事や集会を、「祈り」から始めていたのです。
       ◇
マハトマ・ガンジーは、人間に秘められた力を信じ抜きました。権力の迫害にも屈せず、正義の信念を貫き通しました。その根幹には、「祈り」の力があったのです。
 ガンジーは、題目が、人間に内在する力の究極の表現であり、宇宙の生命そのものであることも学び取っていました。
 今回は、皆さんに、ガンジーの信念の言葉を贈りたい。
 「心からの祈りによって、成し遂げられないものは、この世界にない」「祈る人間には退却というものはない」
 彼にとって、「祈り」は強い人間の証しでした。その揺るがない信念があったからこそ、どんなにつらい状況でも、“未来は必ず明るくなる”“人間には限りない可能性がある”と、楽観主義を貫くことができたんです。
 いわんや、私たちの題目は、智慧の宝の蔵を自在に開く鍵です。わが心を悠々と宇宙大に広げて、勇気の太陽を昇らせる響きです。 だから、落ち込んだり、悩んだりしても、勤行・唱題を実践する人は、必ず生命力を蘇らせていくことができる。何があっても快活に、自分らしく輝いていけるのです。
       ◇
 ――「南無妙法蓮華経」とは、どういう意味でしょうか。
●一字一字に、深い意味があります。それは、御書に全部、記されています。じっくりと学んでいってください。
 たとえば、「日本」という文字の中に、北は北海道から南は沖縄まで、全国が含まれるね。
 同じように、「南無妙法蓮華経」の中には、すべての経典の核心が含まれている。宇宙の法則、世界の哲学、人間の生命の不思議さ、あらゆるものを凝縮したエッセンスが「南無妙法蓮華経」なんです。
 いわば、南無妙法蓮華経は――
 永遠不滅の希望の泉です。
 岩窟王の負けじ魂の炎です。
 絶対勝利の勇気の師子吼です。
 大宇宙の前進のリズムです。
 そして、歓喜の中の大歓喜です。
 それを形に顕されたのが、御本尊なのです。御本尊は、最高無上の生命の明鏡です。
●「すべての人々にとって、南無妙法蓮華経と唱える以上の遊楽はありません」(御書1143ページ、通解)と仰せです。

 ――たしかに、どんな苦しい時も、唱題すると絶対に生命力が湧いてきます。これは不思議です。
●仏法の法理からすれば、当然です。「自分は最高に尊い存在だ! 何ものにも負けないんだ!」と、何度も何度も、仏の生命に呼びかけているんだから。
 「自分はダメな人間だ」「私なんて小さな存在だ」とさげすむ、現代の社会の風潮には、断じて流されてはなりません。

 ――「唱題は、どのくらいやればいいのでしょうか」という問いがありました。
●祈ることは、あくまで、あなたの「権利」です。祈りたいと思う分だけ、無理なく実践するればいいんです。「これだけ唱題しないと、だめ」なんて狭い考えは、仏法にはありません。 
●伸び伸びと考えてください。「一遍の題目」にも計り知れない力があります。
 朝、時間のない時などは、心を込めて題目三唱すれば、必ず通じます。
 そのうえで、時間を見つけて、勇んで題目を唱えた福運は、“宇宙銀行”に積まれています。いざという時、限りない力となります。
       ◇
 ――「雑念が湧いて真剣に唱題できない」「テレビが気になって、長続きしない」という正直な声もあります(笑い)。
●だから、「仏道修行」なんだよ。唱題に挑戦し続けようという姿勢があれば、また、心の底からかなえたいことがあれば、自然と真剣に唱題できるようになります。ありのままでいいんだよ。
 目標を明確に定めれば、祈りに真剣さが増すでしょう。若いのだから、自分自身を高めていく具体的な内容を一つ一つ掲げることが大切です。
 私も青春時代、病気との悪戦苦闘が続きました。戸田先生の事業の絶体絶命の窮地もありました。
 その中で、ともかく、題目の力を試してみるのだと決めて、唱題を重ね、全身全霊で戦い切りました。そして、一切を勝ち越えて、「祈りとして かなわざるなし」「題目に勝る力なし」との絶対の大確信をつかんだのです。
       ◇
 ――「真剣に唱題しているのですが、なかなか祈りがかないません」というメンバーもいます。
●真剣に唱題すれば、必ず、すべてが良い方向に向かっていきます。
 仏法の祈りは「誓い」です。「必ず実現してみせる」と決める祈りです。そう決意を固めるから、本気で努力できる。努力するから、祈りを実現できる自分になるのです。仏法とは、あくまでも「道理」です。何か神秘的な力ではない。
 また、信心は「人間革命」するためにある。仮に、すぐ祈りがかなってしまえば、“努力しなくても、何とかなるんだ”と思ってしまうかもしれない。それでは、人間性の真の向上はありません。
 祈って、努力していけば、心の奥底にある願いは必ずかなっていきます。題目の人は、最後は自分の思い描いた以上の大勝利の青春、そして人生を歩めるのです。
 だから、思うようにいかない、一時の苦しみや悲しみに、負けてはならない。焦ってもならない。
 人生には、病気、経済苦、人間関係の悩みなど、さまざまな試練が襲いかかってくる。しかし、祈り続ける人は、それを断固として素晴らしい勝利の劇に転ずることができます。
 あとで振り返って、あの時にあの出来事があったから、今の自分があると、必ずいえるようになる。そのための信心です。
 君もどうか、未来に大きな目標を掲げ、祈り続けていってほしい。私も毎日、君たちと共に祈ります。
 そして、「君よ、あなたよ!今日も、明るく強く!青春勝利の道を!」と強盛な祈りを重ねていきます。
   (未来ジャーナル 2013-02-01)