希望の大空へ 「自分がやる!」という人に
2013年2月6日(水)更新:7
【希望の大空へ 〜わが愛する王子王女に贈る〜 第10回 創価学会名誉会長 池田大作】
新しい一年がスタートして、1カ月がたちました。みんな元気ですか。寒い日が続いていますが、風邪をひいていませんか。
いよいよ2月。創価学会は「伝統の2月」といって、この月を大事にしています。
私(わたくし)は、この寒い寒い2月が大好きです。
それは2月11日が、私の恩師である戸田城聖先生のお誕生日だからです。私と妻は、この日になると、毎年、お赤飯をたいて、お祝いしてきました。
先生への感謝を込め、私は若き日、このお誕生の月である2月に、それまでの拡大の壁を破る、新たな挑戦の歴史を残しました。そこから「伝統の2月」と呼ばれるまでになったのです。私の青春の誉れです。
どうか、みなさんも、寒さに負けず、勉強に、読書に、クラブ活動などに、たくましく挑戦していってください。
☆ ★ ☆
戸田先生は、青年に、よく言われました。
「広宣流布は、この戸田がする。君たちも手伝いたいか!」
先生は、「やってくれ」とは言いませんでした。すべて自分でやると決めておられたからです。その先生に、私たち弟子は、「お手伝いをさせてください!」と誓って続いたのです。
「一切の責任は私がもつ!」――これが、広宣流布の指導者の心です。
私は、この人生の師匠から、「責任感」という「心の宝」を受けつぎました。自分が立ち上がって、世界の平和と人類の幸福という広宣流布を成しとげてみせると決めて生きてきました。
「だれがやらなくても、自分がやる」
この心の宝を、未来の偉大な指導者である少年少女部のみなさんも、自分の中に、はぐくんでいってください。
それは、決してむずかしいことではありません。その第一歩として、身の回りの「かたづけ」に挑戦してみよう。
「うーん、それは、ちょっと苦手だなあ」と思う人も多いかもしれません。
「かたづけ」とは「自分のことは自分ですること」です。このクセをつけていくと、心の中に「責任感」を、大きく、はぐくんでいくことができます。
◇ ◆ ◇
ドイツには、「人生の半分は整理整とん」という、ことわざがあります。それくらい「かたづけ」を大事にしているのです。
そもそも、かたづけは、何のためにするのでしょうか。
それは、「次に使う時、すぐ取り出せるようにする」ためです。食事の時に使った食器も、また、みんなが着た服も、きれいに洗ったあとは、もとの場所にもどさないと、次に使う時に、さがさなければなりません。「かたづけ」とは、決まった場所にもどすことなのです。
みなさんの先輩の「かたづけ名人」が、アドバイスしてくれたことがあります。
一つは、物の置き場、つまり「指定席」を決めておくことです。散らかるのは、帰る場所のない物が、いろいろな場所に、“置きっぱなし”になっているからです。
また、指定席を決めたら、何を置く場所なのか、そこに書いて分かるようにしておくことです。「学校のもの」「習いごと」「おもちゃ」「思い出の品」などと、棚や引き出し、箱が分かるようにしておけば、とても便利です。
そして、「かたづけ」が苦手な人は、「かたづけタイム」を決めておくのもいいでしょう。まとめてやろうとせずに、毎日少しの時間でいいので「かたづけ」をするとかんたんだし、いつもきれいにすごせます。学校に、あす持っていく物のチェックもできます。
学校にも、「そうじ」の時間があります。これは、日ごろ使っている校舎や教室への感謝をこめて、きれいにするとともに、かたづけができる人になっていく練習をしているともいえます。
私も、小学生の時に身につけた「そうじ」の習慣が、社会に出てからも大いに役立ちました。
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仏教には、こんなお話があります。
むかし、師匠である釈尊と同志のために「祗園精舎」(今でいえば、学会の会館や研修道場などに当たる建物)を建てた須達(すだつ)長者という弟子がいました。
人がやりたがらないことにも、自分から進んで取り組む人で、毎朝、とても広い庭園のそうじをしていました。
ある日、長者が急な用でそうじができなくなると、そのかげの努力を見守っていた釈尊は自らほうきを持ち、長者に代わって庭をはき始めました。この師の姿に、ほかの弟子たちも、あわてて続きました。
そうじを終えると、釈尊は弟子たちに語りました。
――そうじをすることによって、自分の心がきれいになり、人々の心もきよらかにすることができる。そして、自分自身が美しくなって、仏や諸天善神に守られていくんだよ――と。
翌朝、いつものようにそうじに来た須達長者を、釈尊と弟子たちは最敬礼してむかえ、日ごろの尊い労苦に、あらためて心からの感謝をささげたそうです。
そうじやかたづけは、自分だけでなく、家族や友だちをも、すがすがしい気持ちにさせることができます。
先日も、東京に大雪が降った時に、わが創価学園の寮生やサッカー部、野球部の友が若い力で雪かきをしてくれ、地域の方々が大変に喜んでくださったそうです。
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身の回りを整理できる人は、頭の中も整理できる人です。成績も必ず良くなります。
図書館の本も、きちんと整理整とんされているから、読みたい本をすぐにさがすことができます。
創価学会の出発にも、大事な「整理」の歴史がありました。
小学校の校長であった初代会長の牧口常三郎先生は、仕事のあいまに、ご自分の教育のお考えを広告の紙や封筒のうらなどにしるされていました。その一枚一枚のメモの大切さを、ほかの人が理解できないなか、牧口先生の弟子である戸田先生は、みごとに「整理」され、世界的な「教育学」の本にまとめあげられたのです。それが『創価教育学体系』です。
きちんと整理整とんできる人は、新しい発見ができるし、正しいことを多くの人々に教えることができるのです。
何より整理整とんは、事故をなくします。地震の時に、頭の上から物が落ちてきたりしては、大けがをしてしまいます。
だから私は、学会の会館を訪問した時にも、すみからすみまで回って、整理整とんができているかどうか、戸じまりや火の元など、細かく一つ一つ自分の目で確かめてきました。
「小事(ちいさなこと)が大事」なのです。会員を守る――それが私の「責任感」です。
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どんな小さなことでも、人が見ていても見ていなくても、自分の目標にチャレンジする人が、偉い人です。
自分のことは自分でする。その一歩をふみ出す人が、未来の大指導者へと成長していきます。
自分の苦手なことにも挑み、やりとげていく人が、本当の勝利者です。
身の回りも、自分自身も、スッキリして、大事な2月を強く楽しく前進しよう!
(少年少女きぼう新聞 2013-02-01)