社説 きょう、世界対がんデー 病魔に挑む同志と一緒に闘う

2013年2月10日(日)更新:7
【社説】
 きょう4日は「世界対がんデー」。世界120カ国の400組織が参加する「国際対がん連合(UICC)」によって定められた、がん予防や治療への意識向上に取り組む記念日である。
 どんな病も大変であるのはもちろんだが、日本人の死因の約3割が「悪性新生物」であり、これが第1位となっていることを考えると、やはり、がんは特異な病気だといわねばならないだろう。がんといっても千差万別だが、国立がん研究センターによれば「がんは予防できる」という。がんの原因が飲酒やたばこ、食事、運動不足など、日常の生活習慣と深く関わることが分かっているからだ。

〈敵の“正体”を見抜く信心〉
 例えば子宮頸がんに対しては、予防ワクチンの接種が有効だ。ワクチン接種や検診に対する、公的な費用援助も進んでいる。
 がん治療の状況は、近年、大きく変わってきた。がんの種類によっては、新たな治療法や薬剤が登場し、予後(病後の経過についての見通し)が飛躍的に良くなっているものもある。
 「がん」という言葉の響きには独特の“重さ”があるが、医療的な側面をはじめ、治療環境は少しずつ向上しているといえそうだ。
 その上で、大切なことがある。
 がんと闘う、ある同志が語っていた。
 「“病気”は医者と一緒に、“病魔”は私の祈りで、必ず退治します!」
 「魔」とは、仏法では「能奪命者」「殺者」「破壊」などと訳され、信仰者の生命を内側からむしばむ働きのことである。病と相対(あいたい)する時、本当に恐ろしいのは“病気”よりも“病魔”に負け、生命力を奪われてしまうことであろう。信心で自身のがんと向き合ったこの友は、闘うべき敵の“正体”を、はっきりと見抜いていた。
〈苦難越える決意に燃え〉
 患者が積極的に病と闘う姿勢は、治療の進行や回復の経過に良い影響を与える――これまで本紙に登場した多くの医師も、このように語っている。
 “病気”と“病魔”との違いが、もう一つある。後者に対しては、周囲も含めた皆で闘っていけることだ。病の友は、皆の励ましと題目に奮い立ち、周囲は、病魔に挑む友の姿に生きる勇気をもらう――それが“病魔”との闘争である。
 がんとの闘いに世界が向き合うこの日に、私たちも、苦難を敢然と乗り越えゆく決意を、いま一度、新たにしたい。
   (聖教新聞 2013-02-04)