苦難の闇夜に包まれても、ダイヤはダイヤだ

2013年3月8日(金)更新: 7
【名字の言】
 雪国では冬の間、花の代わりに絵ろうそくを飾ったともいわれる。先月、東北の絵ろうそくまつりに行った。静寂な夜の雪原に揺らめく光の連なりが、宝石箱のように美しい▼1本のろうそくを前にしゃがみこむ幼子と母親がいた。何度も点火を試みるが、風に苦労しているようだった。ようやく火がつくと、母子はほほ笑みあった。小さな炎は、2人の心にも温かな光をともしたらしい▼先日、ある座談会に招かれた。会場に入ると、ちゃぶ台に小さな花かごが飾られている。贈り主は原発事故で当地に避難している婦人部員。“皆さんの励ましを胸に、花咲く春を必ず迎えます”との決意が込められていると聞いた▼この日は横殴りの雪だった。彼女は、花かごを風雪から守るように届けてくれたに違いない。花かごに彼女の思いを知った参加者は、“ともどもに人生勝利の春を”と固く誓った。「福光」へ歩む彼女の心の炎は、友の心にも燃え広がった▼英国の科学者ファラデーは『ロウソクの科学』に記している。「ダイヤモンドの夜の光輝は、それをてらす炎のおかげ」(三石巌訳)。苦難の闇夜に包まれても、ダイヤはダイヤだ。炎という助けを得たとたん、美しく輝き始める。炎は「心」、花も「心」である。(城)
   (聖教新聞 2013-03-07)