４０カ国・地域の英才が「世界市民」として雄飛

2013年3月11日(月)更新:３
【キャンパスアカデミックナビ〈３１〉　アメリカ創価大学】
《学長に聞く　ダニエル・ハブキ教授》
〈ノーベル平和賞受賞者、元国連事務次長…　一級の学識者が授業を担当〉
　――ＳＵＡで「リベラルアーツ（教養）」を展開する意義をどのように考えますか。
●私は、ＳＵＡの「リベラルアーツ」の出発点は、「戸田大学」にあると思います。約１０年間にわたって創立者・池田先生は師匠である戸田第２代会長から個人授業を受けられ、経済学、法学、化学、天文学、生命論、日本史、世界史、漢文、政治学など、万般の学問を研究されました。
　この教養力を土台とされ、創立者は、世界中の文化人をはじめ、国家元首、政治家、教育者、学者、芸術家、経済人など、あらゆる分野の識者と「友好」を結ぶ対話を重ねてこられたのです。
　ＳＵＡが目指す人材像は、創立者を模範とする「全体人間」です。
　つまり、人生の深い英知と幅広い教養、そして人々に対する温かな思いやりをもち、何ごとにも果敢に挑戦し抜く「人格」を磨いた俊英の育成です。
　ＳＵＡでは、全ての授業を２０人以下の少人数で行います。学生と教員の距離をできる限り近づけ、人格と知性を錬磨していく中で、創立者が理想とされる「人間教育」に近づこうとしています。

　――創立者の教育理念に賛同し、ＳＵＡの運営や教育内容の充実に取り組む識者も数多くいます。
●各分野を代表する著名な識者の方々が、ＳＵＡの発展のために尽力してくださっていることに、本当に感謝しています。
　創立者の平和行動を高く評価し、長年にわたり友好を深めてこられたハーバード大学名誉教授のジョン・モンゴメリー博士は１０年以上、本学の「環太平洋平和・文化研究センター（ＰＢＲＣ）」の所長を務められるなど、貢献いただいた識者のお一人です。
　今では、ＳＵＡを代表する教育プログラムとなった「ラーニング・クラスター」の教授法を提案してくださったのも博士でした。
　「ラーニング・クラスター」は、学生が中心となって研究テーマを立案し、担当の教員と実地調査を行うプログラムです。
　これまでにこの授業を担当した“特別教員”には、国連のアンワルル・チョウドリ元事務次長がおり、ほかにも、特別授業として、ノーベル平和賞受賞者のベティ・ウィリアムズ氏、キング博士の盟友で、歴史学者のビンセント・ハーディング博士らが教えてくださっています。
　また、ＳＵＡの運営を担ってくださる方々も錚々（そうそう）たる顔ぶれです。
　「理事長」を務められているのはペンシルベニア州立大学のスティーブ・ダナム副学長です。「理事」はペンシルベニア大学のキャレン・ルイス教授、カリフォルニア州の元政府高官で弁護士のクロイ・ヒューレット氏、バハマ国のポーレット・ベセル国連大使、デラウェア大学のデイビッド・ローゼル前学長らです。
　理事会には、こうした一級の知性の方々が集い、ＳＵＡのさらなる発展のため、知恵を結集してくださっているのです。
　「理事」の役職は教職員とは異なるため、皆さん無償で取り組んでくださっています。“創立者の崇高な教育理念を具現化するＳＵＡのために働けることは、人生のかけがえのない喜びです”と口々に語られる姿に触れるたび、胸を熱くしています。

　――卒業生はどのような分野で活躍していますか。
●開学から１２年。ＳＵＡの同窓生の活躍の舞台は、世界中に広がっています。
　ハーバード大学、スタンフォード大学など一流大学院への進学をはじめ、世界銀行などの国際機関、世界４大監査法人、大手電気メーカーなどの企業で勤務する卒業生も多く、博士号取得者、弁護士、医師なども誕生しています。
　ＳＵＡの学生の活躍に世界の知性も、期待の声を寄せてくださっています。
　パグウォッシュ会議の名誉会長で、ノーベル平和賞を受賞したジョセフ・ロートブラット博士は、開学まもない２００１年１０月、ＳＵＡを訪問してくださいました。
　当時、同時多発テロ事件の直後という厳しい状況の中、９２歳の博士は「尊敬する池田ＳＧＩ会長が創立した大学を、ぜひこの目で見たい。世界平和の人材を育成する創価教育の学舎で、向学の使命に燃えて集った１期生に、ぜひ語っておきたい」とロンドンから駆けつけてくださったのです。
　記念講演を終えられた博士は「とても大切な使命のあるＳＵＡの皆さんにお会いし、少しでもお話しさせていただけることが、本当にうれしかったのです」と喜ばれていました。
　さらに、第８回卒業式で記念講演をしてくださったハーバード大学名誉教授のヌール・ヤーマン博士は、「核軍縮、思想の自由、そして人権に関する池田氏の極めて重要な思想が、遍（あまね）く伝播しゆくことを願ってやみません」と強調され、「卒業生の皆さんが、それらの思想をさらに世界に広げゆくことをお願いしたい」と語られました。
　このように、創立者が結んでこられた友誼に基づき、著名な学識者の方々がＳＵＡを訪問し、学生と交流をしてくださっています。そして、創立者の平和行動、人間主義の思想を受け継ぐＳＵＡの卒業生の活躍に、大きな期待を寄せてくださっているのです。
　尊い使命をもつ学生と共に、教職員も成長を続けていきたい、このように決意しています。
　　　（聖教新聞 2013-03-09）