頂上はね、なかなかつかないように見えるけど、本当は近くにあるのよ

2013年4月14日(日)更新:3
【名字の言】
 近年、身近なレジャーとして登山を楽しむ人が増えている。若い女性は“山ガール”と呼ばれ、服装も華やかに。しかし、山は急激な気候の変化や思わぬ落石など、常に危険と隣り合わせである▼以前、富士山に登ったことがある。目指す山頂を見上げると、途方もなく遠くに感じ、急勾配と息苦しさに、登頂を諦めかけた▼池田名誉会長の創作物語『あの山に登ろうよ』(金の星社刊)には、3人の子どもが「にじの山」の頂上を目指す冒険ストーリーが展開されている。立ちはだかる「まほうつかいの雲」「だましの岩」に打ち勝つことはできるのか――▼森の妖精が語り掛ける。「ちょうじょうはね、なかなかつかないように見えるけど、本当は近くにあるのよ」「百歩登ればちょうじょうなのに、九十九歩で引きかえしてしまう人もいる」。物事の成否や勝敗が決まる前には、必ず苦難という“剣(けん)が峰”が待っているもの。その時、登り続けた人だけが頂上に立てる▼4月は、新しい挑戦を始める季節。だが、焦る必要はない。登攀は、1歩でも2歩でもいい。時には、立ち止まることがあってもいいだろう。ただし、決して諦めないことだ。歩みを止めない限り、勝利の頂に、確実に近づいているのだから。(和)
   (聖教新聞 2013-04-14)