褒めて育てるための、見守る努力を怠るまい

2013年4月18日(木)更新:3
【名字の言】
 「起きなさい」と言っても、布団をかぶり、聞こえないふりをする幼稚園児。「早くしなさい」と叫んでも、マイペースで登校準備をする小学生。わが家も同じ、と思われる方も多いのでは?▼長年、教育に携わる友が語る。「『育てる』は、ローマ字で『SODATERU』。頭文字の『S』を取ってみて」と。「ODATERU(おだてる)」――もちろん、甘やかすことではない。「子どもたちのやる気が出るように褒め、可能性を伸ばしていくことが大切です」▼褒めれば伸びる。それは子どもに限らない。自然科学研究機構生理学研究所の報告によれば、褒められると、金銭報酬を得た時と同じ脳の部位が活性化するらしい。褒め言葉は、目に見える贈り物にも等しいのだ。運動技能も、褒めると、より上手に習得できることが、成人のトレーニング実験で証明されている▼褒め方にもコツがある。すぐに褒める。結果より、過程を褒める。他者と比較しない。前提として大切なのは、相手が放つ“心の信号”をつかむことだろう▼人は「見ようとするものしか見ない」という。忙しくなると、見えるものが少なくなる。「忙」という字は「心」が「亡ぶ」と書く。褒めて育てるための、見守る努力を怠るまい。(川)
   (聖教新聞 2013-04-17)