決意を引き出す脇役に徹したい。そこに対話の妙がある

2013年5月19日(日)更新:4
【名字の言】
 「よみがえった思いです」と、先日、取材した草創の婦人部員。自身の広布史を話す中で原点に返り、力が湧いてきたという。話を聴くのがこちらの仕事だが、それで元気になってもらえれば記者冥利に尽きる▼対話において「聴くこと」がいかに大切か。心をケアする専門職「精神対話士」も、聴くことを重視する。「相手の立場に立って、相手の気持ちを想像し、一緒につらさや楽しさを共有することが重要」で、「共感」こそ対話には不可欠という。反対に「早急な助言」は反感を招くことも。仮に助言が的を射ていたとしても、相手の心は満たされないことがある(メンタルケア協会編著『人の話を「聴く」技術』宝島社新書)▼ある精神対話士は、会って励ますことを「身の差し入れ」と表現する。飲食物を差し入れるように、悩みを聴くために自分の身を差し入れる。電話やメールで相談された時でも、直接会って話を聴くべきという(前掲書)▼「私自身も聴くことに徹しています」。先の婦人も語った。「こちらの話を伝えに行くのでなく、相手の言葉に耳を傾ける。すると、話しているうちに信心の原点を思い出し、相手は自ら発心できるんです」▼決意を引き出す脇役に徹したい。そこに対話の妙がある。(宗)
   (聖教新聞 2013-05-18)