自分に勝つことが本当の勝利

2013年5月21日(火)更新:1
【名字の言】
 冒険家の三浦雄一郎さんが、エベレスト登頂を目指している。5月中の登攀へ、行程は終盤に入った。現在80歳。70歳と75歳で登頂しているが、その間に2度、今回の出発前にも心臓の手術を受けた。年齢だけではないハンディを抱えての挑戦だ▼成功すれば、世界最高齢での登頂となる。しかし、前人未到の快挙を三浦さんは「世界新記録」の達成ではなく、「自己ベスト記録」の更新作業と力説する。「何でもいい。今の自分の記録を更新することが、本当の価値なのだ」(『私はなぜ80歳でエベレストを目指すのか』小学館101新書)▼”自分に勝つ”ことは、”他人に勝つ”よりも苦しい。自分自身の弱さと向き合い、克服する作業が必要だ。相手の方が勝負から降りてくれることもない。アニメーターの京都の男子部員も、それを実感した一人▼アルバイトを続け、ようやくつかんだアニメの仕事。当初はこなすのが精いっぱいだったが、妥協だけはしなかった。一枚一枚、さらに良い作画をと、丁寧に仕上げた。学会活動からも引かなかった。今、大人気のアニメ作品を担当。皮膚の持病も完治した▼自分に勝つことが本当の勝利――学会の同志が胸に刻む人生哲学だ。きょうも勇んで、「自己新記録」へ。(馨)
   (聖教新聞 2013-05-20)