両国間の教育・文化交流に貢献 池田博士は「人類の師匠」

2013年5月25日(土)更新:1
ロシア連邦サハ共和国精神アカデミー 池田大作SGI会長を名誉会員に】
 池田大作SGI(創価学会インタナショナル)会長が、ロシア連邦サハ共和国「精神アカデミー」(アファナシー・オシポフ総裁)の第1号の「名誉会員」に就任した。「サハと日本の教育・文化交流の発展への多大なる貢献」を讃えるもの。授与式は22日、東京・新宿区の民音文化センターで行われ、同アカデミーのニコライ・ルギノフ副総裁とニコライ・バラムイギン国際局顧問、北東連邦大学オロンホ研究所のアファナシー・ミガルキン副所長らが出席した。
 日本の約8倍の国土は、ほぼ全域が永久凍土に覆われている。最低気温の記録は氷点下71・2度。水揚げした魚が、その場で凍ってしまう冷たさだ。
 一方、夏の最高気温は40度を超え、夏と冬の気温差が100度に及ぶこともある。
 サハの人々は、「シベリアの中のシベリア」と呼ばれる過酷な自然と向き合いながら、逞しく生き抜いてきた。
 「精神アカデミー」の理念は、この雄大な自然と共生する民族の精神性や、伝統文化の保存をはじめ、言語や歴史、芸術などの研究を支援することにある。
 ニコラエフ初代大統領の大統領令により、1996年、国家社会団体として設立。国内外の卓越した文学者や芸術家、学識者ら25人の正会員と在外会員によって構成される。
 オシポフ総裁は、「人民芸術家」として知られる高名な画家であり、サハの国章制作に携わるなど、数多くの名作を残している。
 来日したルギノフ副総裁は、同国を代表する文豪で、大統領評議会のメンバー。オユンスキー記念文学博物館館長、ロシア作家同盟理事会共同理事長などの重責も担う。
 ミガルキン副所長は、同国に伝わる英雄叙事詩「オロンホ」研究の大家であり、サハの民族・連邦関係局長などの要職を務めた。精神アカデミー会員でもある。
 今月6日、ニコラエフ元大統領がアカデミー会員と懇談した。
 席上、元大統領は、アカデミーの会員がサハの文化の復興に重要な役割を果たしていることに感謝し、“思想の力”“知性の深み”によって、若い世代への道徳的指標を打ち立てていただきたいと念願した。
 池田SGI会長は、これまで、ニコラエフ大統領(98年)やヴラーソフ首相(99年)、精神アカデミー会員でもあるボリソフ文化大臣(2004年)らと対話し、信頼を広げ、友情を結んできた。
 文化交流も積極的に推進。
 2001年、民音が招聘し、サハの国立民族舞踊団「ホトゥグ・スルス(北極星)」の来日公演が実現した。全国23都市で3万人以上が観賞した。
 04年にはボリソフ文化大臣からの要請で、首都ヤクーツク国立美術館でSGI会長撮影の「自然との対話」写真展が開かれ、大きな共感を広げた。
 今回の「名誉会員」への就任は、こうした日本とサハの精神文化の交流や啓発への、SGI会長の傑出した功績と貢献を讃えるものである。

《人間精神の勝利へ共に前進》
 授与式は、民音文化センターで。窓から初夏を思わせる強い光が差し込む。
 今月11日、サハ中央部を流れる大河・レナ川の氷が解け出した。
 この厚い氷が解け始めると季節は「春」、氷が解けきると「夏」になるといわれる。
 サハは今、まさに春だ。とはいえ、日本に比べれば、気温は格段に低い。
 来日したアカデミー一行の体調を気遣う、池田SGI会長の伝言に、ルギノフ副総裁は「まるで、わが家にいるような心境です」と心から感謝した。
 「授与の辞」に立った副総裁は、酷寒の大地で生き抜くサハの人々の精神性に言及。肉体的な努力や忍耐以上に、文化、哲学といった「大いなる知性の力」が不可欠であると語った。
 そして、この英知こそが、極北の冬を生きる人々に未来の希望を描く力を与えてきたと述べ、その精神の結晶こそ、生命の存在を宇宙規模でとらえた人類の名作「オロンホ」であると述べた。
 副総裁はさらに、現代社会において“対話”が失われつつあると指摘。「このような時代にあって、偉大な人格をもつ池田大作博士の姿は、私たちの目に『人類の師匠』と映るのです。博士は、東洋の精神性を体現された傑出した人物です」と力を込めた。
 また、副総裁が師と仰ぐ、キルギスの文豪アイトマートフ氏とSGI会長の対談集『大いなる魂の詩(うた)』の内容が胸に深く刻まれていると力説。「この本によって、私は池田博士という新しい師匠に巡り会うことができたのです」
 そして訴えた。
 「日本だけでなく、世界規模における精神的・道徳的分野での献身的な活動、また日本およびロシア連邦サハ共和国の、両国間における教育・文化の発展への多大なる功績を讃え、サハ共和国精神アカデミー名誉会員の称号を池田博士に授与できますことは、私にとって大きな喜びです」


【「名誉会員」称号授与式でSGI会長が謝辞(代読)】
《北の大地に脈打つ「強靭なる魂」を尊敬 あらゆる差異を超え 生命輝く未来を
 心を結ぶ芸術の往来 サハ国立民族舞踊団が来日公演(2001年)、ヤクツークで「自然との対話」写真展(2004年)》
●SGI会長は、「多種多様な民族の精神性を復活・発展させる」との目的を掲げる精神アカデミーの一員になることは、この上ない名誉であるとともに、深い使命と責任を担いゆくことであると強調した。また、独創的な地理学者でもあった牧口初代会長が極限の酷寒にも断じて屈しないサハの人々の強靭な精神性に瞠目していたことを紹介し、次のように語った。
 「私自身、これまで世界の多くの知性の方々と語らいを重ねてまいりましたが、常に話題の中心となったのは、『精神性』であります。豊かな心を育む哲学や精神性こそ、『人間の、人間としての証し』であり、『地球社会の発展の基盤である――これが一つの結論であります』」
 そして、「平和」も「繁栄」も「未来」も、それを創るのは「精神性」であると述べ、「その『精神性』をたゆまずに探究し、多種多彩な民族の広がりの中で復活・発展させておられる貴アカデミーこそ、人類にとってかけがえのない『人間主義の砦』である」と強く語った。
 また、サハの大文豪オユンスキーの詩の一節「人間は、真に偉大なり。人間自身が、真の神なり」に触れ、精神アカデミーがサハ共和国の“建国100周年”の2022年へ、大文豪の偉大な精神遺産を仰ぎながら、「人間精神の勝利」へ新たな前進を開始したことを祝福。「きょうよりはまた、貴国の皆様と手を携えながら、民族や言語・文化土壌の差異を超えて、あらゆる人々が尊厳なる生命を咲き薫らせゆく未来を開くために戦ってまいる決心です」と、謝辞を結んだ。
   (聖教新聞 2013-05-23)