一緒に行動し、体験を共有する。それを「後継」というのだろう

2013年6月6日(木)更新:4
【名字の言】
 2019年にワールドカップ日本大会を控えるラグビー。昨年6月、日本人初の国際ラグビーボードの殿堂入りを果たしたのが、元日本代表の坂田好弘氏。32歳で現役引退後、今春まで36年間、大阪体育大学監督を務めた▼同大学は1985年以降の7年間で関西大学Aリーグを4度制覇するが、その後は優勝から遠ざかる。そんな時、氏はニュージーランドへ。全く未経験の子どもたちにラグビーを教えた▼どう指導するか悩んだ末、一緒に遊ぶことにした。教えるのをやめ、いきなりゲームをしたのだ。子どもは口で説明するより、ずっと早く上達した▼この経験を通し、氏は「言葉だけでは忘れてしまう。見せてもらえば記憶に残る。一緒にやらせてもらうと理解する」という“コーチングの極意”を再確認する。大学で実践に移し、関西王者に返り咲いた(『心で見る』ベースボール・マガジン社)。「してみせて 言って聞かせて させてみる」。名君・上杉鷹山が説いた教育の要諦にも通じるエピソードだ▼池田名誉会長は「青年を育てるには、『会う』『語る』そして『一緒に行動する』ことです」と。先輩が後輩に過去の経験を語るだけでなく、一緒に行動し、体験を共有する。それを「後継」というのだろう。(潔)
   (聖教新聞 2013-06-01)