子どもの耳に聞かせる励ましの言葉が、可能性の芽を育んでいく

2013年8月4日(日)更新:3
【名字の言】
 「おじいさん、ここ、どうぞ」。通勤の電車内で立っていると、かわいらしい声が聞こえた。夏休みで出掛けるのであろう小学校高学年ほどの児童が、高齢の男性に席を譲っていた。「ありがとね」と相好(そうごう)を崩す男性。隣に座っていた婦人も「偉いねぇ」▼少年は照れくさそうに、はにかんだ。見知らぬ大人に勇気を出して声を掛け、感謝された経験は、若い心に深く刻まれたことだろう▼教員は「10回」。母親は「50回」。“夜回り先生”こと水谷修氏が各地の講演で、一日に子どもを褒めてほしい回数として語った数字である。例えば、昨日一日、わが子に何度、「ありがとう」「偉いね」と言えたか数えてみたい。もちろん母親だけでなく、父親にとっても大切な姿勢だ▼日蓮大聖人は「余りに人の我をほむる時は如何様(いかよう)にもなりたき意の出来(しゅったい)し候なり」(御書1359ページ)と。褒められることは自信となり、より頑張ろうとする力を生み出すもの。褒めた子どもが伸びることは、教育現場でも「ピグマリオン効果」の名で知られている▼この夏、わが家、わが地域の“未来の宝”に、温かい声を掛けていきたい。「育児」は「育耳」という言葉もある。子どもの耳に聞かせる励ましの言葉が、可能性の芽を育んでいく。(肇)
   (聖教新聞 2013-07-30)