心の絆は、生者のみならず、死者をもつなぐ

2013年8月23日(金)更新:4
●八月二十二日
 心の力は偉大である。心には、距離をも、時をも超える力がある。夫婦の心、家族の心、友情の心――。離れていても、心は自在に結び合える。
   (『女性に贈ることば 365日』 池田大作)


【名字の言】
 災害・事故などで、大切な人を失う。絶望と悲しみのふちから立ち上がるには「死者とともに生きる」ことが欠かせない。中島岳志氏(北海道大学公共政策大学院准教授)は、自らの体験を踏まえつつ、そのように考える▼死者は思い出の中によみがえり、今なお忠告や励ましを送ってくれる。「私自身の主観の中で、私は亡くなったその彼と、もう一度出会い直している」と氏は語るのだ(『いわきから問う 東日本大震災東日本国際大学東洋思想研究所編、昌平黌出版会)▼宮城県石巻市のある母は、嫁いだばかりの娘を津波で失った。慟哭の日々……。ある夜、夢で、ほほ笑む娘と出会う。それが、再起へのきっかけとなった。娘との「過去」が、「今」を生きる力になっている、と母は語る。娘の“後継者”として、母は今、広布へ歩む(13日付=信仰体験)▼人間を律する力となる、世の倫理道徳の多くも、生者と死者との関係のうちに育まれた、といえるのではなかろうか。この世には、私たちに大きな影響を及ぼす“見えない人々”がいる――と思想家エリアス・カネッティは指摘した▼心の絆は、生者のみならず、死者をもつなぐ。三世にわたり寄り添い続ける“創価の人間ネットワーク”の重さを思う。(生)
   (聖教新聞 2013-08-23)