先生は、ぼくたちの未来のために、根っこになろうとおっしゃいました

2013年10月24日(木)更新:1
・『「明るい子」「思いやりのある子」「ねばり強い子」』
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【新・人間革命 若芽 三】
 入学式は、「ちかいのことば」の発表となった。三年生の代表が壇上に上り、演台を前にして立つ校長に向かった。
 場内は静まり返った。会場中の目が、心配そうに児童に注がれた。
 「待ちに待ったぼくたちの入学式……」
 元気な声が響いた。物おじすることなく、堂々としていた。
 「今日からは創価小学校の子。学園のおにいさんやおねえさんに負けないよう、ぼくたちはがんばります。
 まっ白いできたての校舎、すばらしい教室、ランチルーム、みんな、早くおいでとぼくたちを呼んでいるようです。
 こんなりっぱな学校にかよえるのもお父さん、お母さんのおかげです。お父さん、お母さん、ありがとうございます」
 保護者席で、目を潤ませる父母もいた。
 幼いながらも、親への感謝を語る児童代表の言葉には、心の気高さが感じられた。
 「恩を知る心以上に高貴なものはない」(注)とは、哲人セネカの言葉である。
 「ちかいのことば」は続いた。
 「そして、だれよりも喜んでくださっている山本先生、本当にありがとうございました。
 先生は、ぼくたちの未来のために、根っこになろうとおっしゃいました。
 先生! ぼくたちは必ず未来の使者として、二十一世紀に思いっきりがんばります。
 そのためにも、今日からは小学校のモットー、明るい子、思いやりのある子、ねばり強い子になることをちかいます」
 講堂に大きな拍手が起こり、いつまでも鳴り止まなかった。
 ここで学園の理事の一人が、創立者山本伸一のメッセージを読み上げた。
 このメッセージは、印刷して新入生全員に配られており、漢字には、振り仮名が振ってあった。
 児童たちは、その声を聴きながら、印刷されたメッセージを、一文字一文字、目で追っていった。
■引用文献
 注 セネカ著『道徳書簡集』茂手木元蔵訳、東海大学出版会
   (聖教新聞 2013-10-23)