美に触れる喜びを知る。それは時に、百万言に勝る生への活力となる

2013年10月29日(火)更新:3
【名字の言】
 「光の賛歌印象派展」が東京富士美術館で盛況だ。世界8カ国・40館の名画が並ぶ会場に入ると、まるで作品から光が降り注いでいるような明るさと温かさを覚える▼テーマは「水辺」。印象派の画家たちにとって、水は春の象徴であり、光を反映する鏡であった。水辺の風景とは水面に反射する光の輝きであり、画家たちは、この刻々と変わり続ける「光の中の風景」を画布に描いた▼出品館の一つ、ロサンゼルス・カウンティ美術館のJ・パトリス・マランデル主任学芸員が教えてくれた。「印象派の魅力とは、一言でいえば、自然の魅力です。画家たちは自分の目、体、心を使って、自然の魅力を表現しました」▼あかね色に染まる空に、思わず見とれてしまう。渓流のせせらぎに触れ、耳が洗われたような気持ちになる。芸術は本来、こうした自然と同じように、「人をくつろがせたり」「生命力を与えてくれる」ものと、東京富士美術館創立者の池田名誉会長。この言葉を実感する▼印象派の作品は小さい画布が多い。屋外に大きい画布は持ち出せないからだ。小さいから普通の家でも飾ることができ、芸術を民衆に広く開く要因となったという。美に触れる喜びを知る。それは時に、百万言に勝る生への活力となる。(側)
   (聖教新聞 2013-10-29)