一人ひとりに笑顔を向け、声をかける――そこから、心の扉が開かれる

2013年11月1日(金)更新:1
・『大いに良い本を読もう』
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【新・人間革命 若芽 六】
 入学式を終えた児童たちは、創価学園の講堂を出て東京創価小学校へ移動した。
 途中、玉川上水に架かる栄光橋を渡り、グラウンドに出た。その隣が小学校である。小学校の校庭で、児童たちと創立者山本伸一との記念撮影が行われることになっていたのである。
 山本伸一は、この記念撮影に参加するため、立川文化会館から創価小学校に向かっていた。車中、彼は、同乗していた学園の関係者に語った。
 「早く会いたいな! 記念撮影には間に合うよね。子どもたちを待たせるわけにはいかないからね」
 伸一は、児童たちと会えると思うと、嬉しくて仕方なかった。
 彼が小学校に着いたのは、午前十一時半前であった。正門から急ぎ足で校庭に向かうと、ちょうど児童たちが、学年ごとに並び終えたばかりであった。
 王子、王女の、まばゆい笑顔が、伸一の目に飛び込んできた。彼は、思わず手を振り、「ようこそ! ようこそ! 創価小学校へ」と叫んでいた。
 児童たちも、大きな声を張り上げた。
 「こんにちは!」
 彼は、児童の側に行き、心に焼き付けるように、皆の顔に視線を注ぎながら言った。
 「入学、おめでとう!」
 そして、手を差し出し、握手を交わし、一人ひとりに言葉をかけ始めた。
 「お会いできて嬉しい!」
 「今日を楽しみにしていたんだよ」
 「君のことは、忘れないよ」
 はにかんだ笑みを浮かべる子もいれば、元気に自分の名前を言う子、「先生、ありがとうございます!」とお礼を言う子もいた。
 一人ひとりに笑顔を向け、声をかける――そこから、心の扉が開かれる。教育の第一歩は、子どもの心を開くことから始まる。心が閉ざされていれば、心田に苗を植えることはできないからだ。
   (聖教新聞 2013-10-26)