温かで優しく、豊かな心

2013年11月7日(木)更新:2
・『自信は成長をもたらす力』
http://d.hatena.ne.jp/yoshie-blog/20180923


【新・人間革命 若芽 十二】
 山本伸一は、“最初の授業”に参加した児童たちと一緒に、一階の一年一組の教室を出た。二階に移動し、理科室、図書室、家庭科室、マルチパーパスルーム(多目的教室)、音楽室、放送室を見て回った。
 家庭科室では、東京創価小学校の姉妹校である関西の創価女子中学・高校の数人の生徒が、歌の歌詞などを毛筆で書いていた。
 彼女たちは、春休みで関東方面に帰省していた生徒たちであった。
 “同じ創価学園に小学校が開校し、弟・妹たちが入ってくることになるのだから、自分たちも入学式のお手伝いをしたい”と、応援を申し出たのである。
 伸一は、その話を教員から聞くと、彼女たちに言った。
 「やっぱり、そうだったか。きっと、皆さんが、手伝いに来てくれるのではないかと思っていたんです。ありがとう!
 私は、そうした心をもつ皆さんに育ってくれたことが、嬉しいんです」
 伸一は、彼女たちに、小学校開校を記念して鉛筆を贈った。
 それから、校長の新木高志に語った。
 「創価小学校でも、他人のことを思いやれる、心の真っすぐな子どもを育てていきましょう。人間の心を失った、冷酷なエリートをつくってしまえば、民衆が苦しみます」
 伸一は、教育の再生といっても、その根本は、温かで優しく、豊かな心を育てることにこそあると確信していたのである。
 マルチパーパスルームでは、教員と卓球をした。教師一人ひとりをよく知り、心を通わせ合いたかったのだ。さらに、音楽室では、ピアノも演奏した。
 伸一は、教員たちを、彼の人間主義教育を分かちもち、学校という現場で実践してくれる同志であると考えていた。いわば、伸一の、さらには恩師・戸田城聖の、創価教育の父・牧口常三郎の分身ともいうべき存在である。
 それだけに、固く強い、心のスクラムを組みたかったのである。
   (聖教新聞 2013-11-02)