希望を創り出し、その希望を、人にも贈ることができるのが人間だ

2013年12月17日(火)更新:3
【名字の言】
 「私が一番苦しかったときに、あなたがそばにいてくれたよね」。白樺会(女性看護師の集い)の友が、ある女性に声を掛けられた。駆け出しのころに担当した患者だった▼女性は当時、手術への不安などで、平静を保てずにいた。白樺の友には、掛ける言葉が見つからない。思わず、ぎゅっと抱き締めた▼その日から女性は徐々に明るさを取り戻し、やがて社会復帰を果たす。入院中、白樺の友との会話を通し、「どうしてこんな病気に……」という考えから、「退院したら、あれをしよう、これをしよう」という前向きな姿勢に変わったのだ▼池田名誉会長と対談した、米国のノーマン・カズンズ博士。膠原病を患い、500分の1しか回復の見込みはないと医師から宣告された。しかし希望を失わず、医学の常識を覆し回復する。博士は「人間がユニークな理由」として、「食物だけでなく、希望までも大切なエネルギーに変え得る能力」を挙げている(松田銑訳『生への意欲』岩波書店)▼希望を創り出し、その希望を、人にも贈ることができるのが人間だ。学会には、そうした蘇生のドラマがあふれている。「一番苦しかったときに、あなたがそばにいてくれた」。その言葉以上の、人間の勲章はない。(宗)
   (聖教新聞 2013-12-17)