権威も、見栄も、さっさと脱ぎ捨てる覚悟なくしては信頼は生まれない

2013年12月23日(月)更新:1
・『やさしい言葉の中に東京創価小学校のめざすものが端的に表現された詞』
http://d.hatena.ne.jp/yoshie-blog/20190321


【新・人間革命 若芽 四十八】
 山本伸一は、木藤優が作詞した校歌の案を見ると、「これで作曲を進めてはどうか」と伝えた。この校歌は、東京創価小学校の音楽教師である本杭克也が作曲し、十月に発表されることになる。
 伸一は、創価小学校の児童らと、会いたくて会いたくて仕方なかった。小学校に行ける日が待ち遠しかった。
 子どもが大好きになる――それが、教育者に求められる最も大切な資質といえよう。
 伸一の小学校訪問の機会は、なかなか訪れなかった。彼のスケジュールはぎっしりと埋まり、二学期に入った九月の十一日には、第四次となる中国訪問に出発した。二十日に帰国すると、本部幹部会など、学会の諸行事をはじめ、北京大学の学長や駐日イギリス大使らとの会見が続いていた。
 伸一が、ようやく児童と会うことができたのは、十月一日に行われた第一回運動会であった。午前十一時半、運動会が行われている創価学園のグラウンドに彼が姿を現すと、子どもたちの大歓声が舞った。
 握手を求めて手を差し出す子もいれば、体にまとわりついてくる子もいた。
 「皆さんと会いたかったよ。今日は、お土産にタイ焼きを持ってきたからね」
 彼は、児童が差し出す手を握り、皆のなかに飛び込んでいった。
 午後、伸一は、教職員と同じ運動着に着替えて、競技の応援をした。
 綱引きやリレーのあと、来賓参加競技「手をとり合って」になった。大人と児童が向き合って手を取り、おなかにビーチボールを挟んで、ゴールに向かうという競技である。
 「よし、ぼくもやろう!」
 伸一は、自らグラウンドに出た。教師たちは、創立者に参加してほしかったが、言い出しかねていたのである。
 リーダーは、企画を成功させ、皆に喜んでもらうために、なんでも率先して行っていくことだ。権威も、見栄も、さっさと脱ぎ捨てる覚悟なくしては、信頼は生まれない。
   (聖教新聞 2013-12-17)